「おせち事件」後に審査を厳格化、次の成長を目指す--グルーポン根本CEO

岡田靖 怒賀新也 (編集部) 2014年08月14日 07時30分

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 Grouponは2008年に米国で創業し、2010年、日本に進出した。飲食や理美容などの店舗やサービス事業者といった、地域の商圏に密着した業種を主なパートナーとし、時間を限定することなどによって高い割引率のクーポンを掲載する。グルーポン会員に販売するビジネスを中心に、パートナーだけでなく自社販売も手掛けている。

 現在では世界48カ国500以上の都市にサービスを提供、モバイルアプリのダウンロード数は8000万超という。グルーポン・ジャパンの最高経営責任者(CEO)に就任して1年になる根本啓(ねもと・さとる)氏に、最近の取り組みや今後の事業戦略について聞いた。

「毎日をわくわく」させるために取り組む4つのテーマ

グルーポン・ジャパンの最高経営責任者、根本啓氏
グルーポン・ジャパンの最高経営責任者、根本啓氏

 グルーポンは「お客様を起点にする」「素晴らしい人材が素晴らしい企業を作る」「平凡を認めない」「長期的な視野で取り組む」「毎日をわくわくさせる」の5つをコアバリューとして掲げる。根本氏は、とりわけ最後の1つ「毎日をわくわくさせる」を重視しているという。

 就任から1年間、取り組んできたテーマは大きく4つ。1つ目は品ぞろえの多様化で、例えば地域サービスではバーベキュー場のような遊戯施設関連サービスも増やし、2013年に比べて2~2.5倍に伸ばした。

 もう1つは利便性の向上で、その増えた品ぞろえの中から簡単かつ的確に発見できるよう、新しい機能を実装してきたという。そのほか、商品については物流パートナーとの協議などを進めて配送期間の短縮を図り、2013年当初の約半分にまでなったとのこと。

 「3つ目はモバイル対応の強化です。これは購買体験にも関係してきますが、画像をより大きく、商品やサービスの魅力を直感的に伝えられるよう、2013年11月にアプリを刷新しました。“購入する”ボタンからのステップも改良しています。どのようなところでエンドユーザーが離脱するのか、止まるのか、どのように回遊しているのかといった情報を活用するのはもちろん、新しい取り組みにはデータがないので、その影響を素早く見極めて修正していくようにして改良を進めています」(根本氏)

 なお、同社のアプリは、ワールドワイドで累計8000万ダウンロードの実績があり、うち2014年第1四半期(1~3月)だけで1000万以上、日本国内のダウンロード数は非公開だが満足できる成果になったとのこと。また、2014年3月の決済の54%がモバイルから行われている(グローバルでの実績)。

2014年3月の決済の54%がモバイルから行われている
2014年3月の決済の54%がモバイルから行われている

 「そして4つ目が“WOW!ディール”という取り組みです。これは、グルーポンでしか買えない“WOW!”、つまりわくわく感を提供するものです。日本では2013年から本格的に取り組みを開始し、有名人に会えるツアー、テレビ番組収録観覧などの希望者を募っています」(根本氏)

 WOW!ディールでは「サイトに来て驚いてもらう、WOW!を感じてもらう」ことを主な目的としており、例えばシンガーソングライターの川嶋あいさんが学校の卒業式で生ライブをしてくれるキャンペーンを実施した。そのほか、『キャプテン翼』の作者である高橋陽一さん率いるフットサルチームなどと対戦するフットサル大会なども開催した。

「おせち事件」後に改善への取り組み

 「こうした取り組みは、いずれもエンドユーザー、ひいてはパートナーのためにという考えで行ってきました。一方で、顧客から信頼してもらうために、社内の地道な改善も継続的に取り組みも続けています」(根本氏)

 グルーポン・ジャパンといえば、かつての「おせち事件」を思い出す読者も多いだろう。事件以後、同社では社内の評価制度や審査体制の改善に取り組み続けている。例えば営業体制では、かつて売り上げ偏重だった評価制度を改め、顧客満足度も含めた評価とした。

 クーポンを利用したエンドユーザーからのフィードバックも取り入れている。エンドユーザーに対するアンケートを2011年から実施、設問は「満足したか」「また使いたいか」「他の人に勧めたいか」などという。このアンケートの結果はクーポンを提供しているパートナーにもリアルタイムで共有され、パートナーのサービス改善にも役立つ。

 「審査基準の厳格化を進めました。項目は以前の約30から200以上に増えています。継続的に改善中で、新しいサービスが加われば、それに応じた項目を追加するようにしています。例えば焼肉屋で肉のグレードを示している場合、その通りに提供されているかどうか、乗馬やダイビングなどではインストラクターが有資格者であるかどうか、適正な商品やサービスであるかどうかなどを常にチェックしています。顧客の信頼のためには、地道に改善を続けないといけません、終わりはないと考えています」(根本氏)

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