米国時間8月12日以降、インターネットの速度が十分に出ていないと感じていたり、一部のサイトが全く読み込まれない現象が発生し、米国や欧州のニュースサイトなどで騒ぎになっている。
多くのTier1のインターネットサービスプロバイダー(ISP)や、さらにそうしたISPがサポートしている末端のISPは、技術的問題に直面しており、その結果、米国全土とカナダの一部地域ではインターネットサービスの状況が悪化している。
インターネットのエンジニアリングやアーキテクチャの専門団体である、北米ネットワークオペレーターズグループ(NANOG)のメーリングリストへの投稿によれば、「東部標準時8月12日午前4時〜5時頃から、複数のISPで大規模な問題が」生じているという。
Border Gateway Protocol(BGP)のルーティングテーブルが上限に達し、古いルータが機能しなくなっている。そのため、インターネットの一部にも影響が出ている。
NANOGや障害追跡サービスのDownDetectorによれば、Level 3やAT&T、Cogent、Sprint、Verizonなど多くのISPでは、8月12日に何度も深刻なパフォーマンス問題に悩まされたという。
そして問題の影響を受けているのはISPだけではない。
大半のISPはこのサービス途絶についてコメントしていないが、Level 3は声明の中で、次のように説明している。「われわれのネットワークは現在、限定的なサービス途絶が生じており、一部顧客に影響が出ている。ネットワークと通信サービスの安定性の確保は、われわれの優先事項であり、顧客への影響を最小限に抑えることに全力を尽くしている。われわれの技術者は現在、できるだけ早いサービス復旧に向けて作業を進めており、影響を受けている顧客とは緊密に連絡を取り合っている」
こうした問題の結果、Liquid Webなど一部のウェブホスティング企業とそのサイトは事実上オフライン状態になっている。
Liquid WebはTwitterで、この問題は当初、「ある大手ネットワークプロバイダーがメンテナンスを実施している」影響だと思われたことを報告している。
ISPのメンテナンスは要因の1つだったかもしれないが、実際の問題は、Border Gateway Protocol(BGP)のルーティングテーブルが大きくなりすぎて、トップレベルのインターネットルータの一部がそれを処理しきれなくなったことにあった。その結果、そうしたルータでインターネットのトラフィックを正しく制御することができなくなった。
BGPは、インターネットの経路情報、つまりマップを共有するために使われるルーティングプロトコルだ。これにDomain Name System(DNS)が加わることで、たとえば「www.zdnet.com」というリンクをクリックすれば、米ZDNetにつながるようになる。
BGPのマップが、そのルータのメモリに対して大きくなりすぎたことで、「BGPに混乱が生じている」とインターネットストームセンターは述べている。