米国全土でインターネットサービスの途絶が発生--BGPルーティングテーブルの巨大化で - (page 2)

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2014-08-15 12:48

 オランダのインターネット専門家Teun Vink氏は、次のように説明している

 8月12日に、一部のルーティングテーブルの経路数が51万2000件に達した。古いハードウェアやソフトウェアの一部はそれに対応できずに、クラッシュするか、新たに学習した経路を無視している。そのため、これが障害を引き起こす可能性がある。

 この投稿でVink氏が言っているのは、一部のルータには、インターネットのマップを扱うためのメモリが限られた容量しかないということだ。これらのBGPルーティングテーブルは通常、3値連想メモリ(TCAM)という特殊なメモリに格納されている。経路数が51万2000件を超えると、多くの古いルータでは経路を正しく追跡できなくなる。

 さらに悪いことに、この問題に注目していたインターネット技術者たちは、この問題が近づいていることを5月から把握していた。あるIPv4再販サイトは以下のように説明していた。

 インターネットの経路数が51万2000件に到達すれば、いくつかの不具合を見聞きするようになるだろう。ルーティングテーブルの増大が過去数カ月のペースで続けば、グローバルルーティングテーブルは早ければ8月、遅くても10月には51万2000件に達するだろう。

 私たちは早めに到達したことになる。

 Ciscoも5月に自社の顧客に向けて、このBGP問題が迫りつつあり、具体的には、多くのルータやネットワーク製品が影響を受けると警告していた。回避策はあり、もちろん装置の交換も可能だった。しかし、全体でそうした対策を取っていないケースがあまりにも多かった。

 それでも、現状よりもはるかにひどいことになっていた可能性もある。インターネットの散発的な問題ではなく、インターネット全体が同時に、数時間にわたって使えなくなっていた可能性もある。

 Tier1の大手ISP数社の情報筋は、BGPルーティングテーブルの問題が実際にサービス途絶トラブルの原因であることを認めている。そうした大手ISPはどこも、トラブルをできるだけ早く解決しようと取り組んでいる。

 評価の高いセキュリティサービスプロバイダーのLastPassのサイトは当初、この問題の影響を受けたように見えた。結果的には、LastPassのサイトがダウンしたのは、同社のデータセンターの1つで障害が発生していたためだった。

 LastPassのサービスはその後復旧している。

 残念ながら、ISPがBGP問題への対処を続ける間は、インターネットの一時的な障害がさらに起こる可能性がある。問題は1、2週間以内には完全に解決するはずだが、古いルータのアップグレードや交換が行われている間は、インターネットの障害や遅延が続くだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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