リアルタイムのデータ分析技術が、業務のさまざまな場面で活用されるようになってきている。これにより、コールセンターにおける顧客向けサービスや、オンラインバンキング上での不正行為の防止策なども高度化してきているという。
コールセンターに着目すると、顧客対応担当者であるエージェントが管理しなければならないチャネル数は増え続けている。固定電話や携帯電話はもちろん、チャット、自動音声応答システム(IVR)、ウェブサイト、ソーシャルメディア、顧客による支払い実績データなども、コールセンターのシステムに断続的に流入する。
どのチャネルから入ってきたデータも一元的に管理し、クロスチャネルで分析をしたり、最適な対応方法を見つけたりすることで、アクセスしてきた顧客に対してできるだけ短時間で、リアルタイムに対応できればベストと言える。
コールセンター向けシステムを提供するイスラエルのNice Systemsは、対話分析や音声認識、プロファイリングといった技術を組み合わせ、こうした業務プロセスの実現を可能にしている。
さまざまなチャネルから流入する情報を一元管理しているため、顧客がインターネットバンキングで振り込みに失敗したことを把握した上で、顧客の問い合わせに対応するといったことができる
例えば、米航空会社American Airlines(AA)は、1日に4000以上のフライトがあり、米国内の3つの予約センターに3800の予約担当者を抱えている。より効率的にコールセンターを管理するために、Niceのシステムを導入した。
航空券と一緒にホテルやレンタカーの予約といった取引につながったコールを分析し、その時のエージェントの言葉使いや振る舞いのパターンを認識できたという。レンタカー事業者などのパートナー企業に送客することで、結果として関連する売り上げをシステム導入前よりも20%以上増やしたという。
AAの国内線予約部門でマネージメントディレクターを務めるDon Langford氏は「顧客と対話しながら、リアルタイムに接客方法を改善できるようになった」と振り返る。
これから国内での展開を本格化させるという。コールセンターでの顧客対応の改善のほか、金融業界でのマネーロンダリングや振り込め詐欺による送金の防止といった効果も見込めるとのこと。「悪いことをする人には声に特徴がある」として、声紋分析などの技術力にも触れる。
もともとはイスラエルの軍事技術を扱っていた7人が起こしたというNice。ナイスジャパンの代表取締役社長として、8月1日付けで荒川勝也氏が就任した。新たな体制で日本での展開を強化する。