発表会見でGallagher氏とともに説明に立ったEMCジャパンの山野修社長は、「エンタープライズデータサービスプラットフォームであるVMAX3は、ハイエンドサーバの機能の一部も兼ね備えている」と語った。まさにEMCならではのクラウドプラットフォームへの挑戦といえよう。
「通信事業者のIT投資だけでなく設備投資に対してもソリューションを提供していきたい」 (日本オラクル 三露正樹 常務執行役員)
日本オラクルの三露正樹 常務執行役員
日本オラクルが先ごろ、通信業界向けに“ネットワーク機能仮想化(Network Function Virtualization:NFV)”を支援するソフトウェア「Oracle Communications Applications Orchestrator」を国内で提供開始したと発表した。同社常務執行役員でエンタープライズ第一営業統括 本部長を務める三露氏の冒頭の発言は、その発表会見で、通信事業者の場合、ネットワーク分野への投資がIT投資でなく設備投資になることから、新製品も設備投資として採用されるように注力したいとの意気込みを示したものである。
NFVは現在、通信事業者各社が取り組んでいる次世代の通信基盤となるアーキテクチャで、従来、ネットワーク機器として導入していたルータやゲートウェイ、ファイアウォール、ロードバランサなどを、標準のサーバや仮想化技術の活用によって実現するものである。NFVを採用することによって、各社のネットワーク管理におけるコスト削減や新サービス導入の迅速化が可能になるため、業界内において標準化が進められている。
新製品は、仮想化された通信基盤の上で展開される通信機能を提供するソフトウェアの導入や稼働状況などのライフサイクルを統合的に支援するためのソフトウェアで、通信基盤のNFV対応を支援するものである。これによって、新しいサービスの展開に必要な通信基盤を迅速に確保し展開することが可能になるとしている。
新製品のさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは会見で筆者が質問した内容と、それに対する三露氏の回答を紹介しておきたい。
筆者の質問は、日本では大手3社に代表される通信事業者へのアプローチと、広く通信業界全般へのアプローチについて、それぞれどう取り組もうとしているか、といった内容だ。それに対し、三露氏が通信事業者へのアプローチとして答えたのが冒頭の発言である。そして、通信業界全般へのアプローチについては次のように語った。
「これからはIPネットワークが通信網の中心になる。そう考えると、NFVの利用は大手通信事業者だけでなく、サービスプロバイダーや一般法人向けにも広がっていく可能性が大いにあると見ている」
NFVはSDN(Software-Defined Network)と似た概念であることから、通信事業者向けSDNと捉える向きもあるが、いずれにしても通信業界にとっては革新的な取り組みだけに今後の普及の動きが注目される。その中でオラクルが確固たる存在感を示すことができるかどうかにも注目しておきたい。