NFC決済とビーコン
NFCは、国際標準規格として承認された近距離無線通信技術(Type AのNFC-AとType BのNFC-Bに分かれ、主に欧米で利用されている)のことであり、10センチ程度の距離で、接触することなく「かざす」だけで通信、決済できるものを定めた規格です。代表的な例としては、米Googleの「Google Wallet」があります。
日本ではFelica(NFC-F)を使った「おサイフケータイ」が、NFCの規格の1つとしておなじみになっています。
また、クレジットカードブランドのVisaが提供する「Visa pay Wave」、MASTERの「PayPass」など、ここ数年は非接触型IC決済手段の動きが活発です。しかしながら、NFC方式の場合、消費者には対応端末、店舗側にも対応リーダーがなければ使えないなど、期待とは裏腹に流通額は伸び悩んでいます。
そこで、2014年度最注目の通信技術は「ビーコン」です。ビーコンの最大の特徴は、NFCでの通信距離が10センチ程度に限定されていますが、最大約70メートルまでの情報をキャッチできます。
つまり、顧客の来店から、店外チェックアウト(決済)までの広範な動きを監視できます。また、NFCで課題であった消費者の対応端末もBluetoothでの通信となるため、ほぼすべてのスマートフォンと連携ができます。
また、店舗側の端末も電池1つで最大5年間稼動する事ができます。スマートフォンの2大勢力である「iPhone」を提供するAppleも「iOS 7」で、「iBeacon」を搭載しました。
iPhone 6でNFC搭載の可能性もありますが、これまでの動きを見ていくとAppleはiBeaconを今後の決済手段のインフラとして考えている可能性を強く感じます。また、PayPalもBluetoothを搭載した機器で、利用者のスマートフォンと連動した「PaPalビーコン」を展開しています。
これによりユーザーは、店舗に入るだけで、現金やカードを取り出すことなく、自動的にハンズフリーで決済ができる仕組みを生み出しました。
今後はこのビーコンを利用して、端末を取り出すことなくチェックインをしたり、クーポンをもらえたり決済まで完了できます。
その他の決済
決済の大きな枠でいくと、仮想通貨「Bitcoin」やウェアラブルデバイス決済の「Ring」。モバイル送金決済やIC決済など、さまざまな手段があふれています。
今後は単なる決済サービスではなく、マーケティングツールや顧客管理なども搭載した決済を活用した時代になっていくと思われます。次回は決済を活用したマーケティングやセキュリティ問題に関して掲載していきます。

- 小倉政人
- Cloud Payment 執行役員
- 物販サイト、コンテンツサイトなど、1000社以上の多種多様な企業で、ECサイトの決済コンサルを行う。その後、中国、インドネシアへ赴任し海外決済事業及びEC事業の立ち上げを経験。現在は、EC決済の不正防止システムやサブスクリプション決済事業に従事する。