総務省が毎年7月に刊行している「情報通信白書」の平成26年版が刊行された。今年も総務省による調査から各委員会、有識者の見解などを通して、日本や世界の情報通信技術(ICT)の最近のトピックや政府の情報通信政策について広くまとめている本白書は、一読に値するだろう。
今年の特集では、「ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト」と銘打って世界中でICTが社会や生活を変えていくということについて取り扱われている。世界におけるICTの各技術の普及やビジネスの展開などを概観した上で、昨年の「スマートICT」で取り上げられていたオープンデータやビッグデータなどのデータに関する事項や、社会課題解決なども引き続き取り上げられている。
本記事では、第一部(特集)、第二部(情報通信の現況・政策の動向)からなる本編と資料編の中から、特集を扱う。その中でも、今回は世界でのICTやICTによる課題解決の現状と、経済や産業への影響について解説する。
ICTのグローバル展開の各国での現状
ICT産業は産業、社会、ライフスタイルなどのさまざまな領域だけでなく、発展途上国に至る世界中に急速に浸透しつつある。その全貌を理解することは難しいが、いくつかの側面から現状を紹介する。
まず、世界の現状についてまとめる。ICTはもはや先進国だけのものではなく、途上国を含んだ地球規模のものとなりつつある。2012年の世界の携帯電話普及率は89.5%に及び、ほとんどの国で50%以上の普及を見せている。世界のインターネット人口も年平均成長率12.4%と順調に普及している。LTEなどの高度なインフラが2019年末までに26億人、SNSも2017年には23.3億人と予測されるなど、これらも地球規模で普及しつつある。
「世界における携帯電話およびインターネット普及率の変化」
出典:「平成26年版情報通信白書」(総務省)
原出典:総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
ITU World Telecommunication/ICT Indicators 2013より作成