シカゴ発--LinuxConの基調講演で、Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏は、Linuxは現在あらゆる場所であらゆるものを動かしていると述べた。同氏の言っていることは正しい。スーパーコンピュータから株式市場、スマートフォンにいたるまで、2014年ワールドカップでドイツがブラジルに対してそうだったように、Linuxはほとんどのコンピュータ市場で優位を占めている。しかしLinuxカーネルのパネルディスカッションで、Linuxの創始者のLinus Torvalds氏は、Linuxがデスクトップを支配していないことをいまだに残念に思っていると認めた。
LinuxCon 2014のLinuxカーネルパネルディスカッション
確かにそうだ。スマートフォンとタブレットを含めれば、Linuxはすでにエンドユーザー向けOSのトップになっていると主張できる。さらに、「Mint 17」や「Ubuntu 14.04」のような、日常的に使われている優れたLinuxデスクトップは数多くある。
しかし、なんと言うことだろう。LinuxはPCデスクトップをまだ支配していない。Linuxカーネルの開発者であるGreg Kroah-Hartman氏はTorvalds氏に、Linuxは次にどこに進むべきだと考えているのかと質問した。Torvalds氏は、「やはりデスクトップを目指したい」と答えた。共感した聴衆は同氏に拍手を送った。
Torvalds氏はさらに「デスクトップにおける難題は、カーネルの問題ではない。それはインフラストラクチャ全体の問題だ。いつか目的を達成できると考えている」と述べた。そこでKroah-Hartman氏が「Linuxデスクトップの年になるのか」と尋ねると、Torvalds氏は「その話はしない」とほほえみながら答えた。
Linuxカーネルのパネルディスカッションでは、「Raspberry Pi」のような小型のハードウェアデバイスの登場によって、より小型のLinuxカーネルが望まれている状況についても議論が行われた。Torvalds氏は、「Linuxカーネルをより小型で高速にしたいと考えている」と語った。しかし続けて、「現時点では市場の後押しはほとんどない」とも言っている。組み込み型ビジネス市場では「こうした組み込み型システムを扱う企業は結局、Linuxの古いバージョンを使うか、自分たちのより古くて貧弱なソフトウェアを再利用することになる」とした。
Torvalds氏は「われわれ(年長の開発者)の多くには、ハードウェアをあれこれいじる時間はない」と付け加えた。それでも同氏は、「Raspberry Piは(Linuxや小型デバイス上のプログラムを使いたい人々の)世界に種をまいた」とした。結局のところ、エンジニア志望者や開発者志望者たちに働きかけることがRaspberry Piの目的なのである。