インターネットイニシアティブ(IIJ)は8月21日、メールサービス「IIJセキュアMXサービス」で8月24日から送信ドメイン認証技術「DMARC」に対応すると発表した。DMARCは、送信元を詐称した迷惑メール(スパム)への対策に有効とされている。
DMARC(Domain-based Message Authentication,Reporting and Conformance)は、すで標準化された技術である「SPF」と「DKIM」の認証結果を利用して、詐称されたメールを受信側がどう扱うべきかの方針(ポリシー)をドメインの管理者側が宣言するための仕組み。
SPF(Sender Policy Framework)は、送信元ドメイン名と送信元メールサーバの整合性を確認し、正当なメールサーバからメールが送信されているか否かを確認する技術。DKIM(Domain Keys Identified Mail)は、送信側がメールに付与した電子署名を受信側で照合することでメールの正当性を判別する技術。
DMARCでは、送信元ドメインの管理者は、SPFとDKIMの両方の認証に失敗したメールに対し、「そのまま通す(none)」「隔離する(quarantine)」「受信拒否する(reject)」というように、受信時の処理方法をDMARCポリシーとして宣言する。これにより、自社のドメインを悪用して送られるスパムやフィッシングメールの排除効果を高められるなど、ユーザー企業のドメインから送信されるメールの信頼性を確保できるという。すでに米国では多くのISPがDMARCへの対応を進めており、普及率は非常に高まっているとしている。
DMARCの仕組み(IIJ提供)
http://www.dmarc.org/でのTwitterの報告では、1日あたり1億1000万通ほどあった“なりすましメール”が1000通へ激減し、2013年のクリスマスの買物シーズンにはPayPalを偽装した2500万通ものメールが遮断されるなど非常に高い効果を上げているという。
IIJセキュアMXサービスでは、メール受信時にDMARCの認証結果をラベル付けし、受信者がドメイン管理者のポリシーに沿って対応できるようになる。ユーザー企業は自社でメールサーバを改修するなどの手間やコストをかけることなく、DMARCの認証結果にもとづいて詐称メールを振り分けるなどの対処ができる。
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