なぜハイブリッドクラウドを実現できるのかというと、vCloud Hybrid Serviceがオンプレミスで実績のある仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」を基盤としているからだ。このため、すでにオンプレミスでvSphereを利用している企業は、これまでと同じ管理手段でクラウド環境を可視化、運用し、オンプレミスとオフプレミスの両環境に対応したクラウドの使い方ができるというわけだ。まさしくヴイエムウェアならではのハイブリッドクラウド戦略に、今後も大いに注目しておきたい。
「オラクルのモバイルソリューションは、どんなデバイスでもオープンに対応する」
(日本オラクル 桐生卓 執行役員)
日本オラクルが先頃、企業向けモバイルアプリケーションの開発・運用を支援するソフトウェア製品「Oracle Mobile Suite」を国内で提供開始すると発表した。同社執行役員でFusion Middleware事業を統括する桐生氏の冒頭の発言は、米Appleと米IBMが先般、同じモバイル分野で独占的なパートナーシップを締結したのに対し、オラクルのスタンスについて語ったものである。
日本オラクル 桐生卓 執行役員
Oracle Mobile Suiteは、さまざまなデバイスやOS上で稼働するモバイルアプリケーションの開発フレームワーク、クラウドやオンプレミスのバックエンドアプリケーション連携基盤、モバイル端末からのID管理・アクセス制御との連携機能を統合したソフトウェアである。桐生氏によると、「すなわち、つなぐ部分、開発する部分、守る部分の3つの機能を1つのパッケージにした製品だ」という。
企業のモバイル活用においては、業務におけるスマートフォンやタブレット端末の普及やBYOD(Bring Your Own Device)への対応に伴い、モバイルアプリケーション開発や保守の生産性向上、モバイルアプリケーションと社内システムのシームレスな連携、モバイルセキュリティの確保が課題となっている。
これらの課題に対し、Oracle Mobile Suiteは、Javaベースの開発フレームワークによりモバイルアプリケーション開発の全工程を網羅すると同時に、一度の開発でさまざまなデバイスに展開できるようにした。300を超えるアダプタを利用できるシステム連携基盤の仕組みにより、既存の社内アプリケーション資産を有効活用した開発が可能。さらに、企業用と個人用のアプリケーションとデータを分離し、よりセキュアなモバイル環境提供するオラクルのセキュリティ製品と連携させることができるとしている。
ただ、この分野はAppleとIBMが先般、独占的なパートナーシップを締結した動きがあり、IBMと競合するオラクルの対抗策が注目されているところだ。その点を単刀直入に聞いてみると、桐生氏は「オフィシャルなコメントはできないが」と前置きしつつ、冒頭のように語り、両社の提携とのスタンスの違いを明らかにした。果たしてこの分野の競争は、今後どのような展開になるのか。注目しておきたい。
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