クラウド市場深読み分析:雲のむこうが見えたあと - (page 3)

鈴木 逸平

2014-09-09 07:00

今はクラウドの3強の時代へ

 現在は、AWSに加え、Google Computing Platform、そしてMicrosoftが展開するAzure、という3つのクラウドコンピューティング事業者が3強独走態勢を作りつつある、と言われています。各社とも株式上場している会社故、財務は公開されていますが、クラウド事業だけを抽出した売上規模、利益率などは伏せられています。

 クラウド市場に身を置くものからすれば、この数字に対しては非常に興味がそそられますが、そのようなニーズを受けて、さまざまな調査会社、投資コンサルタント会社が3社のクラウド事業の売上規模を実に興味深い方法で計算し、比較をしています。

 調査結果はそれぞればらつきがありますが、最近では、Synergy Research Groupという調査会社がレポートを発表し、AWSの市場に対して、Azure、IBM、Googleなどがまだまだ大きな差を付けられていながらも、後者の成長率が顕著で、2014年第2四半期(4~6月)にAWS以外の売上合計がAWSを超えた、と報告されています。


 この3つの会社、共通しているポイントがいくつかあります。

 1つは、いずれも巨大なデータセンターリソースをグローバル規模で抱えているということと、その成長に託した投資額も数百ドルから数千億ドル規模、と非常に規模が大きい点です。Googleは、2014年4~6月の3カ月間だけでデータセンター建設に対して26億5000万ドルの投資をしています。

 クラウドコンピューティングのトップ3社がこのような投資を続けていく以上、この市場は体力、そして財布の厚さでほとんど勝負が決まる世界である、と言わざるを得ません。

 それでは、他のクラウドプレーヤーはどうすればいいのか。

 数え方の尺度は人によってまちまちですが、現在、グローバルでクラウドコンピューティング事業者は100程度ある、と言われています。これらの企業は、さまざまな市場からやってきてます。


 それぞれのクラウドプレイヤーは、従来のビジネスを拡張させることを目的に新規のクラウド事業を位置づけているケースが多いようです。例えば、ネットワークキャリア事業者(北米ではAT&TやVerizonなど)であれば、自社のVPN事業、ホスティング事業の拡張としてクラウドサービスを提供し、当然ながら既に運用している顧客のIT資産と新規クラウドを連携させるべく、ハイブリッドクラウドサービスが大きなテーマになるはずです。

 既存の事業に新規クラウド事業が浸食しては問題ですので、共存できるビジネスモデルが必須になるからです。

 クラウドサービスを主業務とするいわゆるPure Playのベンダー(買収を通してかなり少なくなってます)を除き、ほとんどのクラウドサービスベンダーは、元来の事業とのバランスの中でIaaSもしくは関連するサービスを提供する形となります。

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