「Docker」コンテナの本格的な普及に疑いのまなざしを向けている人々にとって、考えを改めなければならないようなニュースが飛び込んできた。VMwareがDocker、Google、Pivotalと提携し、同社の仮想化ソフトウェアにDockerコンテナを統合すると発表したのだ。
なぜこれが大ニュースなのか。コンテナはVMwareの仮想マシンと真っ向から対決する製品となり得るものだったからだ。Dockerを自社製品に取り入れるという方針は、Dockerと競合するよりも協業する方が得策だとVMwareが判断したことを意味している。
VMwareのバイスプレジデントであるPaul Strong氏はブログ投稿で、「Docker、Google、Pivotalとの協業は、VMwareのソフトウェア定義データセンターというアプローチが持つ独自の利点をそのままに、コンテナの持つ利点を顧客に提供できるようにするためのものだ。しかも顧客は今までのやり方を一切変更しなくても済む、つまり妥協のないコンテナが実現できるのだ」と顧客向けに分かりやすい言葉で語っている。
VMwareは新たなパートナーとの協業により、「企業が社内のVMwareインフラ上で、あるいは『VMware vCloud Air』というハイブリッドサービス上で、コンテナ化されたアプリケーションを稼働、管理できるようにする」ことを目指すという。
VMwareの取り組みは中途半端なものではない。同社によると、この取り組みは「VMware製品の持つコンピュートや管理、ストレージ、ネットワーキング、セキュリティに関する機能をコンテナ環境でももたらすというものだ」という。
Dockerのビジネス開発担当シニアバイスプレジデントであるScott Johnston氏は、Dockerは今回の提携で、パートナーとなる大手のIT企業を1社増やしただけでなく、より多くの顧客を手に入れることになるという。
具体的に言えば、VMwareとDockerは、「VMware vSphere」やVMware vCloud Airの構築から配備に至るまでの同社のワークフロー上で、「Docker Engine」を利用可能にするために協業していくことになる。これに加えて、Docker関連のオープンソースプロジェクトである「libswarm」や「libcontainer」「libchan」の開発でも協力していく。
またGoogleとVMwareは、Googleの「Kubernetes」の開発でも協力していく。KubernetesはGoogle主導で開発が進められているオープンソースのコンテナクラスタマネージャだ。管理者はこれを用いることで、仮想マシンのインスタンスをまたがる複数のコンテナのレプリカ(複製)をスケジューリングできるようになる。VMwareは、VMware vSphereでKubernetesを使えるようにすることで、企業におけるコンテナ管理の敷居を下げようとしている。
最後に、上記3社は「Warden」の持つ機能をDockerのlibcontainerプロジェクトに取り込み、同プロジェクトを拡張していくために協業していく。Wardenはもともと、VMwareが「Cloud Foundry」のために開発したLinuxコンテナ(LXC)テクノロジだ。これは、コンテナを管理するためのシンプルなAPIを提供するものである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。