クライアント仮想化ソフト、上位3社のシェア高まる可能性:IDC調査

山田竜司 (編集部)

2014-08-26 15:01

 IDC Japanは8月26日、国内クライアント仮想化市場の主要ベンダーの競合状況を分析、結果を発表した。同市場は、シンクライアント専用端末、クライアント仮想化ソフトウェア、クライアント仮想化ソリューションで構成される。この3分野ではそれぞれの上位ベンダーが高いシェアを確保しており、ベンダーシェアの順位は大きく変動していない。

 2013年の国内シンクライアント専用端末市場のベンダーシェア1位はHewlett-Packard(HP)、日立製作所、Dell、富士通、Lenovoがが上位5社となった。HP、日立、Dellの上位3社の実績が突出しており、4位以下のベンダーを引き離している。国内シンクライアント専用端末の産業分野別出荷台数別シェアでは、金融が21.4%、教育と自治体が19.5%、ヘルスケアが8.6%、小売が6.6%、その他(製造、情報サービス、通信など)が43.9%という傾向だった。

 市場全体の促進要因として、技術の向上、各業種における大型案件の増加、私的端末の業務利用(BYOD)やワークスタイル変革などを挙げた。フォームファクター別ではモバイルシンクライアントの割合が序々に増加している。構内モビリティだけでなく社外で利用する企業も増加傾向にある。

 2013年の国内クライアント仮想化ソフトウェア市場の上位5社はMicrosoft、Citrix、VMware、NEC、Oracleだった。特にMicrosoftは50%以上のシェアを維持し、上位3社の合計シェアは非常に高い。その背景には、クライアント仮想化製品ポートフォリオの充実度合いやクラウド関連製品の拡充などを含め、クライアント仮想化を推進するシステムインテグレーターやチャネルに対する拡販施策などが挙げられるとした。さらに3社のシェアが高まる可能性が高いとIDCではみている。

 2013年の国内クライアント仮想化ソリューション市場(オンプレミス)のベンダーシェアでは、1位から富士通、日立、NECの3社で、IBM、HPの2社が追従している。2011~2012年と比較して、順位の入れ替わりはあるものの、上位5社のベンダーは変わらず、特に上位3社は企業体力、企業規模、導入実績などから今後もある一定のシェアを確保できるとみている。同市場では、参入障壁が低いと考えられるため、今後も多くのシステムインテグレーターやソリューションベンダーが参入してくる可能性が高いとしている。

 IDCはクライアント仮想化ソフトウェアベンダーを中心にできあがっていたオンプレミスのエコシステムに対し、DaaS(Desktop as a Service)が加わりつつあると指摘。今後は、エンドユーザー環境を全て包含したワークプレイスを訴求する戦略へと移ると説明している。


総出荷台数=29万8000台 2013年 国内シンクライアント専用端末/ターミナルクライアント市場 出荷台数ベンダー別シェア

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