富士通は8月27日、大規模なVMware仮想化環境専用ストレージ「FUJITSU Storage ETERNUS TR series」の販売を開始した。税別価格は最小構成標準価格で1621万1000円から、9月26日から出荷する。大規模サーバの仮想統合やクライアント仮想化システムに特化した製品と説明している。
ETERNUS TRは、大規模なサーバ仮想化環境でも安定した高性能を発揮できるという。ETERNUS TRへのI/Oは99%以上がソリッドステートドライブ(SSD)で処理できるように設計されているため、高速処理が可能としている。一部の仮想マシンで突発的に高い負荷が発生した場合でも、他の仮想マシンの性能に影響を与えないよう自動的に性能資源を割り当てることで、安定した高い性能を発揮すると説明している。
ETERNUS TR
性能設計などが難しい大規模なサーバ仮想化環境でも煩雑な構成設計や性能チューニングなどは不要という。セットアップもネットワークの設定やデータストアの登録など最低3項目を設定するだけで済み、10分程度で利用が開始できる。
容量や性能が不足した場合は、ETERNUS TRそのものを増設することで容易に拡張できるという。専用の運用管理ソフトを使用することで、最大32台のETERNUS TRを1つのシステムとして統合管理できる。
ETERNUS TRを活用することで、今までのストレージではできなかった仮想サーバ単位での性能と容量を時系列で把握できるようになっている。ホストやネットワーク、ストレージ、ディスク単位の処理時間を過去に遡ってグラフィカルに表示でき、ボトルネックの有無を可視化する。従来は特定が難しかった性能遅延の原因を容易かつ迅速に特定でき、対処できるとしている。
ETERNUS TRでは、仮想マシン単位にオンラインでデータをバックアップするスナップショットを取得できる。更新データのみを保持するため、サーバのアクセス性能に影響を与えずにデータを保護できるという。災害対策の機能としては仮想マシン単位で遠隔地にデータを転送する。データは重複排除と圧縮で転送するためデータ容量を最大95%削減でき、WAN回線の帯域幅を抑えながら遠隔地にバックアップできるとしている。
今回の製品は、米国の仮想化環境専用ストレージのベンダーであるTintriが開発した製品であり、富士通がOEM製品として販売する。富士通では、ETERNUSシリーズとして販売することで、仮想化ビジネスを加速していくとしている。
富士通は今回の製品を垂直統合型システム「FUJITSU Integrated System Cloud Ready Blocks」のラインアップに追加する予定。大規模なサーバ仮想化環境での安定した処理性能を実現するとともに、システムのライフサイクル全般での運用管理工数の軽減が可能としている。