導き出した仮説から、回帰分析やクラスター分析などの多変量解析手法を用いて、データを分析した結果を説明します。この際に、重要なポイントとして、報告を受ける対象者のデータ分析内容の理解度に配慮する必要があります。
意思決定を担う人は必ずしもデータ分析手法に詳しいわけではありませんので、用いた分析手法がどのような分析手法なのか、その手法を用いた結果どのようなことがわかるのか、などの端的な説明が必要です。

データを可視化する(○のついている要素が効果のよかった施策など)
また、本連載の「分析結果を可視化するグラフ--その用途と注意点」で説明したように、データ分析結果を適切に可視化することも重要です。
レポートの締めとして、データ分析の結果からどのような考察が考えられるのか、またどのようなアクションを行うべきなのかを提案する必要があります。適切なPDCAサイクルを回すためにも、データ分析の結果からの考察や取るべきアクションの提案は大変重要です。
この項目がない場合、分析のための分析というレポートになりやすく、ビジネスに生かされることもなくなってしまうため、レポート作成時における肝とも言えるでしょう。
また、データ分析の上で、よくあるケースとして、「現場で知られている当たり前の結果」となるケースと「当初設定した仮説がデータから実証できなかった結果」となるケースがあることも珍しくありません。データ分析者も報告を受ける人も同様ですが、このようなケースに遭遇した時に、多くの分析者は葛藤することがあるでしょう。
しかし、チームや会社として、過去にデータに基づいて分析をした結果がないのであれば、それらの事実をレポートとしてまとめ、報告することは非常に意義があります。
なぜなら、前者の場合は、現場の人間がなんとなく感じていた事がデータに基づいて立証されたことなるため、それ以外の現場から得られる感覚をどんどん立証していく契機になるためです。後者の場合には仮説が間違っていた事実がチームで共有されることにより、次からは同じ轍を踏まないように配慮できるようになります。
この結果の蓄積がチームの知見となり、継続できれば知見を資産化することができます。つまり、データ分析のPDCAサイクルを回し続けることで、組織にどんどんノウハウが蓄積され、データ分析や施策立案の精度を上げられるようになり、最終的にはサービスの質も向上していくでしょう。このようなサイクルを回していく意識が大事であると筆者は考えます。