単一画面で管理負担を軽減--EUCを統合する「VMware Workspace Suite」の要点

鈴木恭子 2014年08月29日 08時00分

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 VMwareは8月26日、仮想デスクトップの「VMware Horizon」とモバイル管理の「AirWatch by VMware」を統合し、「VMware Workspace Suite」としてパッケージ化、提供を開始した。

 サンフランシスコで開催された、同社の年次コンファレンス「VWworld 2014」で発表された。同社エンドユーザーコンピューティング(EUC)担当上級副社長兼ゼネラルマネージャを務めるSanjay Poonen氏は、「仮想化デスクトップとモバイルを統合管理することで、管理者の負担は低減し、エンドユーザーには統一感のある体験を提供できる」と語り、統合のメリットを強調した。

EUC分野に積極的に取り組んでいく姿勢を鮮明に打ち出した
2日目の基調講演では、EUC分野に積極的に取り組んでいく姿勢を鮮明に打ち出した

 Workspace Suiteの導入で管理者は、単一のポータルからAirWatchとHorizonにアクセスできるようになる。エンドユーザーはウェブやSaaS、Windowsアプリケーションにアクセスする際、シングルサインオンで「Workspace Portal」からアプリケーションカタログにアクセスして利用できる。デスクトップPC、タブレット端末、スマートフォンなどデバイスの種類を問わず、統一の環境で利用できるのが特徴だ。

 Workspace Suiteは、ハイブリッドクラウド環境でITサービス提供を自動化する「vCloud Automation Center」と、パフォーマンス管理やキャパシティ分析を担う「vCenter Operations Manager」を利用したプラットフォームとして提供される。8月20日に買収した「CloudVolumes」の機能も統合されているという。

Sanjay Poonen氏
VMware エンドユーザーコンピューティング担当上級副社長兼ゼネラル マネージャ Sanjay Poonen氏

パッケージ化で価格的なアドバンテージも提供

 仮想デスクトップとモバイルの管理機能の統合は、顧客からの要望が強かった――。

 基調講演終了後、取材に応じたPoonen氏は、Workspace Suiteに寄せるユーザーの期待を強調した。Workspace Suiteによって得られるユーザー側、そしてVMware側のメリットは何か。話を聞いた。

――両製品を統合した意図を教えてほしい。

 Microsoftの「Office Suite」と同じ発想だ。ユーザー企業は、同じような機能を提供する製品を、1つのパッケージとして導入したいと考えている。例えば、われわれはクラウド管理スイートとして「vCloud Suite」を提供しているが、管理画面の見やすさなどユーザーからも評価が高い。

 2つの異なる環境を管理するアドミンにとって、コンソールは同じ使用感の方が良い。エンドユーザーにとってアプリカタログは、同じものであることが望ましい。シングルサインオンでアクセス、管理できることは、管理者にとって複雑性を排するという観点からも、大きな負担低減となると確信している。

 現在は、ノートPCとタブレットの境界線が曖昧になっている。例えば、Windowsの仮想化アプリを「Chromebook」やAndroid端末で使いたいユーザーは多いだろう。AirWatchはモバイル管理分野で圧倒的なシェアを誇っており、その機能も充実かつ洗練されている。“モバイルクラウド”の視点で考えると、モバイル管理と同じようにノートPCを管理できることは、企業にとって大きな利益となるはずだ。

――今後、両製品を個別で購入することは可能なのか。

 われわれはスイート購入を強制していない。個別に購入することも可能だし、両製品の名前が消滅するわけではない。ただし個別で購入するよりも、Workspace Suiteで購入した方が価格的なメリットはある。

――CloudVolumesについて教えてほしい。買収からわずか1カ月間で機能をスイートに統合した。買収発表前からすでに協業をしていたと理解してよいか。

 われわれが企業を買収する際に考慮すべきポイントは3つある。「(その企業が所有している製品や技術を)自分たちで作るか」「パートナーになるか」「買収するか」だ。CloudVolumesは、仮想と物理の両環境に対し、リアルタイムでのアプリケーション配信機能を提供する。これは、買収が最適だと判断した。

 われわれは、デスクトップPCの統合管理とバックアップを同時に実行するツールとして「Horizon Mirage」を有している。同ツール上にアプリケーション配信機能を実装することも検討したが、機能的な方向性は異なると判断した。両ツールにオーバーラップはないので、将来的にHorizon MirageとCloudVolumesは統合することになるだろう。

――競合製品について見解を聞かせて頂きたい。EUC分野、特にモバイル管理では米国Citrixの製品(XenMobile)が競合すると考えるが。

 Citrixは創立25年でVMwareは16年だが、売り上げの規模はVMwareの方が多い。われわれの「デスクトップ」ビジネスは成長している。直近の(売り上げの)成長率を見ても、Citrixより伸び率がよいことがわかるだろう。

 EUCの分野には「デスクトップ」「モバイル」「コンテンツ」の3つの柱がある。市場シェアを見れば、デスクトップの第1位はCitrixだが、近い将来、第1位はVMwareになると確信している。

 一方、モバイル分野でAirWatchは圧倒的シェアを誇る。Citrixは第3位にも入っていない。コンテンツの分野は市場が新しく(市場自体が)断片化している。現時点では明確なリーダーが存在していない。もちろん、われわれは同分野でもリーダーになりたいと考えている。

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