介護分野の成長が視野に--拡大が見込まれるロボット市場

ZDNet Japan Staff 2014年08月29日 11時41分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本はロボット王国だ。米国映画に出てくる未来ロボットに「日本製」という設定が多いのは、日本のロボット技術の高さが世界的に認知されているからだ。

急成長が見込まれるロボット市場

 株式市場では、モノを製造する産業用ロボットよりも、サービスを提供するサービスロボット(次世代ロボット)への注目が高くなっている。産業用ロボット市場も引き続き成長するが、サービス・ロボット市場はそれを上回る速度で拡大すると見込まれている。


出所:経済産業省の独立行政法人新エネルギ0139ー・産業技術総合開発機構(NEDO)
「平成22年度ロボット産業将来市場調査」)

 上の表の、「製造分野」は産業用ロボットを、「サービス分野」はサービスロボットを表します。「ロボテク製品」とは、ロボット技術を使って動く機器(自動運転システムなどロボット形状を取らない)のことだ。ロボテク製品も広義のサービス・ロボットと考えることができる。

 現在の日本のロボット市場は1兆円弱と推定されるが、NEDOの予測ではそれが2020年までに2.9兆円、2035年までに9.7兆円に拡大する。

なぜサービス・ロボットが重要か

 これまでロボットというと、ほとんど産業用ロボットのことだった。自動車や機械の組み立て工場で、産業用ロボットが目にも止まらぬ速さで、正確に製品を組み立てている。あの速さ、正確さは、とても人間にできることではない。

 日本の産業用ロボットは、既に世界中の工場で使われている。人件費が高騰する新興国で、省力化投資の切り札となるだけでなく、製品の品質向上にもロボットは欠かせない。今後世界中で産業用ロボットへの投資拡大は続くと考えられる。

 ただし、産業用ロボットだけでは、ロボット産業の将来は限られる。「モノ」を生産しているだけでは、高い付加価値を得られない時代になってきているからだ。

 「モノ」は一時的に人気が出て不足することがあっても、しばらくすると人類が獲得した圧倒的な量産技術を駆使して、大量に安く作られるようになる。そのころにはブームが去って、在庫の山ができて、価格が暴落する。ハイテク製品は常にその運命を繰り返してきた。

 そんな時代にあって、需要がどんどん増えるのに、まったく供給が間に合っていないものがある。それは、良質の「サービス」だ。医療、介護、教育、防犯、防災、共働き世帯の家事、育児支援……。需要の拡大に供給が追い付いていない分野を数えればきりがない。サービスが不足する理由は、これまでサービスが大量生産できなかったからだ。サービスの供給量を2倍にするのに、人員が2倍必要では大量供給はできない。

ロボットと人間の協業に無限の可能性

 かつて、人間と同じ「心」や判断力を持ったロボットが作る夢が語られたことがあった。残念ながら、それは不可能だ。相手の声が怒りを含んでいたら、悲しそうに「申し訳ありません」、相手の声がうれしそうだったら、笑顔で「よかったですね」みたいに応対するロボットは簡単に作れる。

 ただし、そのロボットは、あくまでも人間が作ったプログラムの範囲でしか対応ができない。きめ細やかな心遣いや臨機応変の対応力が必要な医療や介護を、ロボットだけに任すことは不可能だ。

 半面、ロボットには人間にない能力があるのも事実だ。警備ロボットが居眠りすることはない。介護ロボットは通常の人間にないパワーを持つ。人間とロボットが協業することで、良質なサービスの大量生産に道が開けるだろう。

 介護・警備・清掃・受付など人間とロボットが協業することで、素晴らしく効率が上がる分野はたくさんある。高所の窓ガラス拭きや、被災地の救助活動など、危険をともなう作業は、ロボットとの協業がいちはやく進むと考えられている。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]