現状を受け、前田氏はアドビの提唱するデジタルマーケティング戦略として「成熟度モデル」を紹介。これは「偶発的」「拡張的」「規律的」「戦略統一」「規範的」の5段階になっており、段階が上がるほど経営課題の解決に貢献するというもの。具体的には、1つの部署での施策が組織内に広がり、ルールが定められ、経営層まで巻き込み、効率化されていく。
アドビの提唱するデジタルマーケティング戦略:成熟度モデル
アドビの「Adobe Marketing Cloud」は、成熟度モデルのどの段階でも適用でき、さらに段階を上げていくにも有効であると前田氏は言う。顧客データ解析の「ANALYTICS」、コンテンツ管理の「EXPERIENCE MANAGER」、テストとターゲティングを行う「TARGET」、ソーシャルメディア管理の「SOCIAL」、広告管理と最適化を行う「MEDIA MANAGER」、クロスチャンネルのキャンペーン管理を行う「CAMPAIGN」の6つのソフトウェアがある。
コアサービス、プラットフォーム、共有機能とともにクラウドの仕組みでで提供する。Oracleが提供するサービスに対する優位点を聞かれて「3年先を行っている」と答えた。買収が早かったことで、早期の取り組みと統合、データ連携が実現したことを要因として挙げた。
アドビが提供する「Adobe Marketing Cloud」
導入事例にも触れた。雑誌で見た洋服やアクセサリーがネットで買えることを特徴として打ち出すECサイト「MAGASEEK」(マガシーク)。ファッション系ECサイトが乱立する中、競合企業とのブランド差別化や、顧客獲得とサービスの利用促進、消費者環境の変化へのビジネスの適応といった課題を抱えていた。特にマーケティングにおいてはモバイル対応、成果把握の精度の向上、組織連携の強化が課題だったという。
マガシークは、アドビの「ANALYTICS」と「TARGET」を導入。KPIの計測と分析、ABテストによるコンバージョン率の改善施策の実施など、データを基にしたモバイルサイトの改善とウェブサイト改善の社内横断タスクフォースを発足させた。
これにより、収益では4000万円の売り上げ効果と2000万円の売上減のリスク回避、組織ではデジタルマーケティングの専門部署を確立し、全社の施策を最適化したとのこと。経営では、分析とテストによるビジネス成長を確認し、全社方針として展開した。