オープンデータによる経済効果と国際協調の行方

江口晋太朗 2014年09月02日 12時27分

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 一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(OKFJ)は8月30日、7月に開催されたドイツのベルリンで開催された「Open Knowledge Festival 2014」の報告会を実施した。

オープンデータによる経済効果と国際協調

 Open Knowledge Festival 2014は、7月15日から17日にかけてベルリンで開催されたオープン化に関連したカンファレンスだ。「OPEN MIND to OPEN ACTION」をテーマに、クリエイティブ・コモンズ、Fablab(個人のものづくり)、MOOC(大規模公開オンライン講座)などのオープン教育関係者、Code for Americaなどのシビックテック(地域課題解決のための技術)、学術情報などのオープン化を進めるオープンアクセス関係者など、さまざまな分野の専門家たちが集まった。

 「2013年まではOpen Knowledge Conference と題し、透明性に関する議論が活発に行われたが、今回はより参加者同士の交流に重きを置いたものになっており、2013年以上に多様な参加者が集まっていた」(OKFJ理事の渡辺智暁氏)


OKFJ理事 渡辺智暁氏

 渡辺氏は、その中でも経済効果と国際協調といったテーマを軸に、セッションや参加者同士での意見を交換し、セッションや交流会で話された内容を紹介した。

 まず1つ目は「経済効果」だ。オープンデータを推進することでどの程度の経済効果が見込まれるのかが、政府や企業によって大きな指標の1つとも言える。しかし、経済効果の推計には時間と費用がかかり、コンサルティング会社によって結果はまちまちで、年間数千億円から十数兆円など推計に差異がある。

 オーストラリアのLateral Economicsは、向こう5年間で十数兆円近い経済効果があると推計するなど、オープンデータに関して期待を寄せる企業や国が多いと渡辺氏は指摘する。

 経済効果を捕捉しやすいのはBtoC系のウェブサービスなどだが、BtoBや社内利用、オープンデータとオープンデータではないデータを組み合わせて利用するものなどは捕捉しにくい。さらに言えば、経済効果は後者のほうが大きいとの見方も多いという。

 コンサルティング会社のACIL Tasmanが推計した方法によると、業界別のヒアリングと文献調査を通じて、データ利用による生産性や売り上げの向上につながったとみなす普及率から算出する直接効果と、業界別の効果とマクロ経済モデルをもとに、相互利用や経済全体の効果を推計する間接効果があるとし、これらをもとに現実的な数字をはじき出すことが必要だとされている。

 そのためには、まずは分野を絞り、オープンデータによって経済効果につながったとされる事例を収集し、類推でオープンデータの経済効果はあると確証を深めるアプローチが必要だとする。

 その1つが「Open Data 500」 だ。ニューヨーク大学のGovLabが推進し、非営利法人のKnight Foundationが資金を支援している取り組みだ。同研究は全方位的に事例を収集し、オープンデータの経済効果の広がりの実証とオープンデータによる成功事例が一部の少数ではないことを示す取り組みとも言える。

 2つ目は国際協調だ。2013年のカンファレンスでは、世界銀行やOpen Data Institute、Open Knowledge Foundationの途上国のオープンデータ支援プロジェクトが発表され、毎年数億円程度を世界銀行が拠出しているという。2014年には、Tim Berners-Lee氏が運営するWorld Wide Web FoundationのODDC(Open Data Developing Countries)プロジェクトが途上国のオープンデータ支援の成果を発表した。

 それらをうけて、11月に開催されるG20のアジェンダで、オープンデータを経済成長目標達成における有力な手段として位置づけようとアプローチしているという。経済成長のアジェンダとしてオープンデータが位置づけられようとしているなか、日本でも国内のオープンデータの推進、途上国へのオープンデータ支援を実行するかどうかの議論を進めていく必要があると渡辺氏は指摘していた。

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