“機器間通信(Machine to Machine:M2M)”を含めた“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”に注目が集まっている。M2M/IoT市場は年成長率が30%を超え、2018年にはグローバルで20兆円の市場規模となるという見通しが出ている。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)はM2M向けビジネスを展開しており、2014年度は2013年度に比べ回線数で70%成長と高い伸びを見せているという。同社は、同市場について、特定分野に限らず、さまざまな産業での活用が進み、効率化や生産性の向上、付加価値向上を実現できると見ている。
その実現のためには、複数のレイヤ構成とトータルコーディネーションが必要であり、セキュリティへの配慮は現在以上に重要な要素となる。標準化でつながるデバイス、サービスの拡大が必要になるといったことを指摘した。
さまざまな企業が参入できるM2M/IoT市場
NTT Comは複数の調査会社の調査データから、グローバルなM2M市場規模を2014年時点ではネットワーク、デバイス、ソフトウェア+サービスを含め4兆円、国内市場は3090億円規模と試算している。今後もグローバル、国内ともに年30%を超える成長を続け、2018年時点ではグローバルで11兆6000億円、国内では8242億円の市場規模と試算する。IoTが加わると、2018年時点ではグローバル市場規模20兆円と試算している。
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M2Mは10年以上前から「テレメタリング」の名称で、自動販売機など一部業界ではすでに採用されている。ここにモバイルの活用が可能となったこと、通信モジュール価格の低廉化、クラウド型サービスの普及によってM2M/IoTには新しい側面が加わったと説明した。
特に、データの蓄積から分析、アクションまでの機能をクラウド型で提供するプラットフォームが登場したことで、開発コストと期間を短縮化できるようになった。ここから、M2M/IoTに参入する事業者を増やすなど構造的な変化を実現した。
NTT ComではM2M/IoTに参加する企業を、以下の7つのレイヤに分け、レイヤごとにそれぞれの役割があると指摘する。
- デバイス=モジュールを搭載し、ネットワーク接続が可能な自動車、産業機器、家電製品、スマートメーター、医療機器など。プレーヤーとしては安川情報システムなど
- モジュール=通信チップやGPSを搭載したモジュール。用途にあわせた耐久性、省電力性、省スペース性を追求した製品が登場。プレーヤーとしてはSierra Wirelessや華為技術など
- モバイルアクセス/コネクティビティ=世界各国、多様な方式でモバイル通信網を提供する通信事業者(キャリア)。プレーヤーとしてはNTT ComやNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど
- サブスクリプショ管理=多様な端末を各種異なるネットワークと連携させて、リモートでの基盤管理を提供。接続したデバイスの利用状況の分析、ネットワーク経由でのソフトウェアの更新、IP、利用状況を含めた管理機能などを提供。プレーヤーとしてはJasper Wirelessなど
- IaaS=M2M/IoTアプリの実装やM2M/IoTプラットフォームに必要なサーバリソースを提供。プレーヤーとしてはNTT ComやAmazon Web Services(AWS)など
- M2M/IoTプラットフォーム=M2M/IoTアプリ開発に必要な資産管理、サービス、ID管理、コンフィギュレーション、データ収集診断機能などを提供。企業向けアプリとに連携も提供し、データの活用に向けたプロセスを簡易化。プレーヤーとしては富士通、NEC、NTT PCコミュニケーションズなど
- アプリケーション=M2M/IoTデバイスから得られるデータを活用したアプリケーション。プレーヤーは用途によってさまざま
NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 オープンネットワークサービス部門 グローバルM2Mサービス企画PT 担当課長 大坪寛氏
「各社が自社の強みを生かし、パートナー戦略を展開しているが、NTT Comでは、世界200カ国で展開するVPN(仮想専用網)とモバイル通信網、世界13都市で展開するクラウド、自前データセンターを強みとしながら、パートナーとともにデバイスからプラットフォームまでトータルで提供していることが大きな特徴」(NTT Com ネットワークサービス部 オープンネットワークサービス部門グローバルM2Mサービス企画PT担当課長 大坪寛氏)