生産性向上のために、従業員にモバイルデバイスへのアクセスを提供するのであれば、仕事にはより柔軟なアプローチで臨む必要がある。Forresterによれば、オーストラリアやニュージーランドの労働者が仕事のためにスマートフォンを使用する主な場所は、自宅と通勤中だという。
「これは生産性を向上させるものの、組織はスマートフォンを業務時間延長の手段ではなく、従業員の成果と生活を向上させるツールとして捉えなくてはならない」と、Forrester Researchのシニアアナリスト、Tim Sheedy氏は言う。
「従業員を継続的に満足させ、燃え尽き症候群が起こる可能性を最小限にとどめるには、モバイルサービスをそれぞれのユーザーにとって、使いやすく、楽しく、ソーシャルで、恩恵のあるものにすることが重要だ。モバイルは、コミュニケーションやサービスを単に可能にするだけでなく、よりよいものにすべきだ」(Sheedy氏)
トレーニングとサポートの提供
モバイルを利用した業務を行うのに適切なトレーニングとツールをスタッフに提供することが、変化のプロセスを管理する上で重要となる。
Imari Consultingの創業者兼ディレクター、Arna Jade氏
Imari Consultingのディレクター、Arna Jade氏は「各チームメンバーの初期トレーニングと導入計画が重要だった。基本的には、ワークフローを示し、最初の週はさまざまなシステムに慣れさせた」と述べている。
「私は全員がアクセスできる文書レポジトリとして『Dropbox』を使い、会社の業務の進め方を記述した方針や手続き、手順に関するマニュアルを共有した」(Jade氏)
セキュリティに配慮する
会社がどれほど小さくても、モバイルデバイスに価値のあるデータを置くことは避けられない可能性が高い。小規模企業が絶対に避けたいのは、社外秘の財務データや顧客データが、セキュリティ対策が不適切なために漏えいしてしまうことだろう。セキュリティ監査を行い、重要なリスクを特定して、モバイルデバイス上に置くデータと、モバイルデバイスとバックエンドデータベース間でやりとりされるネットワーク上のデータの両方について、リスクを軽減するための対策を取る必要がある。
どんな小規模企業も、モバイルを利用することで、恩恵を受け、業務を改善することができる。ケースによっては、6カ月で売り上げが倍増したOrea Cafeのように、著しい恩恵を受けることができる場合もあるだろう。モバイル文化への移行は、金銭的なコストはそれほど高くないが、小規模企業のリーダーにとってはかなりの時間を必要とする。リーダーはチームに模範を示し、モバイル文化を受け入れて積極的に伝え、スタッフがこの新しい働き方を前向きに受け入れられるようにしなくてはならない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。