大元隆志のワークシフト論

環境の変化に組織はついてきているか--三段階に分類できる企業のステージ

大元隆志(ITビジネスアナリスト)

2014-09-03 07:30

 これまで、「これからの企業の新しいかたち」について触れてきた。今回はここまでのおさらいをしたい。既に説明するまでもないことだが、世の中は「破壊的イノベーション」によって、姿が変貌しつつある。この数年さまざまな人、企業を見てきたが、変化におびえる人、チャンスと捉え行動に移す人、守りに入る企業、攻めに転じる企業と対応がずいぶん違うようだ。しかし、手さぐりながらも変化に対応するために駒を進めてきた企業と、そうでない企業には確実に差が出てきている。

 筆者は日々の取材活動を通じて現代の企業は三段階に分類することができると考えている。ポイントは「QCD」――QはQuality(品質)、CはCost(コスト)、DはDesign(デザイン)だ。


企業経営のIT活用度は三段階に分類できる

第一段階の企業

 第一段階の企業はQCDを「企業価値」として重視する企業群となる。QCDを重視する企業は自社の強みをQCDのどれかだと認識し、多額の広告を使って、その強みをアピールする。しかし結局の所、QとDは模倣され、Cつまり「安さ」をアピールする戦いとなり、低価格であることを多額の広告を使って世に訴える。新規顧客に振り向いてもらうのも、既存顧客を呼び戻すのも「安さ」と「広告」を武器に戦っている。

第二段階の企業

 「QCDではいずれ価格競争に巻き込まれる」――そう気づいた企業は自らの企業価値を「S」で創りだすことを考えた。ブランドを伝えるための「Story」、企業を成功に導くための「Strategy」、ストーリーと戦略を実行するための「System」だ。

 「S」を企業活動に取り入れた企業は、Costではなく、Storyで差別化し、大きな利益を上げることに成功している。新規顧客の獲得には広告を利用するが、既存顧客へのアプローチは「System」を使い、ターゲット毎に異なるメッセージを送り「嫌われない」アプローチを取って売り上げを伸ばしている。

 本連載では、「ストーリーによるコミュニケーション」を実現するために元ジャーナリストを採用したOracleの事例を紹介した。

 なお、「オムニチャネル時代」と呼ばれるようになった現代では、通常このようなシステムが導入されている。


企業経営を第二段階に進めるためのITリファレンスモデル

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