IEがもたらす問題を解消する
IEはブラウザ界のRodney Dangerfield(編集部注:「誰も私を尊敬してくれない」というネタで有名な米国のコメディアン)であり、ウェブ開発者や経験豊富なWindowsユーザーからまったく尊敬されていない。
こうした評価は、Microsoftが同社の旗艦ブラウザと、「Windows Media Player」のOSへの搭載をあきらめるかと思われた2000年代の半ばから長く続いている。米国と欧州の独占禁止委員会はそれぞれ2000年代の半ばに、これら製品を同梱していることを問題視して巨額の調停金を支払うよう同社に命じたのだ。同社は2009年の一時期、IEを搭載しないWindows 7の出荷を計画したものの、最終的にその決定を覆した。
米国の掲示板RedditのIAmAセクションでIEの開発者チームが最近立ち上げたAMA(Ask Me Anything:質問受け付けます)スレッドでは、この芳しくない評価をネタにして、ブラウザの名前を変更しようと考えていたというジョークも飛び出していた。
しかし問題は名前にあるのではない。問題はウェブ自体に存在している。Microsoftは「IE 8」と「IE 9」も引き続きサポートしているため、サイトを正しく表示させるためにさまざまな努力が必要となっている。「IE 11」はずっと優れた製品であるが、一部の開発者らは、あえて無視したり、怒りにまかせた攻撃的なコーディングによってIEの最新版でも正しく表示されないページを作成している。しかし、開発者らがブラウザに依存しない方法でページを作りさえすれば、多くのケースで問題は解決するのだ。
Microsoftが提供している登録パートナー向けのページでさえも、IE 11がリリースされた後、1年以上にわたって以下のようなエラーメッセージが表示されている。
筆者がWindows 8.1のIEを使ってMicrosoftのパートナーサイトにアクセスすると、上記のエラーが表示された。
このサイトを正しく表示させるには、手作業で互換表示リストにMicrosoft.comを書き加えなければならない。Microsoftの営業部門でさえビジネスパートナー向けの自らのウェブサイトを修正できないのであれば、サードパーティーのウェブ開発者らにそういった努力を求めることはできないはずだ。
筆者の個人的な経験を述べると、Windows 8.1上のIE 11は全般的にとても優れたエクスペリエンスを提供してくれる。しかし、いまだに荒削りな部分と互換性に優れていないところがあり、それは今後も残り続けるため、サードパーティーのブラウザに乗り換えるユーザーはなくならないだろう。
Microsoftはこのような非互換性を少しずつ減らしていき、IEをより良いブラウザにできるはずだ。それでも開発者やパワーユーザーの凝り固まったネガティブな評価を打ち砕けるかどうかは分からない。しかし、そうできないのであれば、代替策として何が残されているのだろうか?