革新を重んじる企業にとって、金銭が前進を阻む要因になることは決してない。高い評価によって買収価格が数十億ドル規模に跳ね上がることが日常茶飯事のIT企業の間では、特にそうだ。
これまでで最も大規模なIT企業買収のトップ10を見ていこう。
1. AOLによるTime Warner買収(1060億ドル)
AOLを独立した企業と見なすことは、はるか昔の記憶のように思えるかもしれない。実質的に、(AOLがTime Warnerを吸収したというよりもむしろ)AOLはTime Warnerに飲み込まれてしまったからだ。しかし、この買収は過剰なインターネットバブルの絶頂期を象徴する出来事だった。両社の合併は2000年に発表された。時価総額が高かったため、当初の買収予定額は1650億ドルだったが、インターネットバブルの崩壊により、買収が成立する頃には、瞬く間に金額が減少していた。とはいえ、この買収は、市場が1000億ドル以上の取引を受け入れることが可能な最後の瞬間に起こった。その後すぐIT関連の株価は急落した。
2. FacebookによるWhatsApp買収(190億ドル)
2014年前半に承認されたFacebookによる190億ドルでのWhatsApp買収は、ベンチャーキャピタルの支援を受けている企業のエグジット(投資資金回収)としては、歴史上最大の規模だ。WhatsAppはモバイルメッセージをやり取りできる機能をユーザーに提供する。一部のプライバシー擁護団体はユーザーデータがFacebookの金儲けに利用される可能性を危惧して、WhatsApp買収を批判した。
3. Hewlett-Packard(HP)によるCompaq買収(186億ドル)
1980年代後半に、英国のコメディアンであるJohn Cleese氏の義理の兄弟がコマーシャルで勧めていたように、Compaqのコンピュータは無視できない存在だった。しかし、2000年代初頭、Compaqは弱体化し始め、同じ業界の大手企業HPがCompaqを買収する方法を模索し始めた。買収が最初に発表された2001年6月の時点では買収額はもっと高額だったが、HPは2002年5月、190億ドル近くで買収を成立させた。この買収は当時、コンピュータハードウェア企業の買収としては史上最大の規模で、それは未だに破られていない。
4. HPによるEDS買収(139億ドル)
2008年8月下旬、HPは約140億ドルでElectronic Data Systems Corporation(EDS)の買収を完了した。EDSはRoss Perot氏が創設した多国籍企業で、テキサス州プレイノに拠点を置いていた。EDSは自動コードジェネレータやATMが金銭を受領できるようにするシステムの開発で知られていたが、HPはEDSのITサービス事業を求めて同社を買収した。現在の企業体は、HP Enterprise Servicesと呼ばれる。