日立、M2Mシステム関連サービス--プロトコルに「CoAP」、HTTPより軽量

NO BUDGET 田中好伸 (編集部)

2014-09-05 07:00

 日立製作所は9月5日、施設や設備の管理や予防保全などを目的とした“機器間通信(Machine to Machine:M2M)”向けシステム基盤を容易に導入できるという「M2Mトラフィックソリューション」を開発し、電力事業者や鉄道事業者などの社会インフラ事業者向けに販売を開始した。価格は個別見積もり。10月31日から提供する。

 データの収集、管理、見える化、機器やネットワークの制御などデータ活用を一元的に行うクラウドサービスと、省電力かつ拡張性を備えたM2M機器として“センサノード”の「AirSense Sensor Node」と“ゲートウェイ”の「AirSense Gateway」を新たに開発した。M2M向けシステム基盤の導入に向けたコンサルティングからシステム設計、ネットワークの構築、クラウドサービスの運用、保守、業務アプリケーションとの連携など、各種サービスをトータルに提供する。

M2Mトラフィックソリューションの構成
M2Mトラフィックソリューションの構成(日立提供)

 新たに開発したAirSense Sensor Nodeは、センサから取得したデータを無線でゲートウェイに伝送する端末であり、ゲートウェイであるAirSense Gatewayは、AirSense Sensor Nodeから無線で収集したデータ、接続されたセンサから収集したデータをサーバに送信する機器になる。

 今回のサービスでは、端末をクラウドから制御するとともに、センサノードとゲートウェイの間のネットワーク“FAN(Field Area Network)”やWANもクラウドから制御する。センサノードやゲートウェイ、クラウドサービスを連携させることで、クラウドを運用するセンターから一括して機器を設定でき、現場での複雑な設定なしに、機器の電源を入れるだけで利用できるという。AirSense Sensor Nodeは省電力設計のため、長時間の電池駆動が可能としている。

 FANでは、M2M通信プロトコルとして「CoAP」を採用している。CoAP(Constrained Application Protocol)は、インターネット技術の標準化を推進する任意団体のIETF(The Internet Engineering Task Force)で標準化策定が進む機器間通信向けのプロトコル(日立も標準化活動に参加している)。CoAPは、ヘッダサイズが4バイトであり、代表的な通信プロトコルであるHTTPの140バイトより軽量であるため、HTTPと比較して約6割の通信量削減の効果が期待されている。

 クラウド上では、現場環境の見える化で機器やネットワークを制御する。外部システムとのAPIも提供するため、ユーザー企業の業務システムやデータ分析ツールといったさまざまなシステムと連携できるという。

 遠隔から管理できるJavaベースのサービスプラットフォームである「OSGi(Open Services Gateway initiative)」フレームワークの技術を採用したゲートウェイでデータ加工やデータ流量管理などアプリケーションを動的に実装できるとしている。クラウドを運用するセンターからゲートウェイのアプリケーションを管理、配信する機能を提供し、サービスを追加、変更できると説明している。

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