杉原氏によると、世界の経営管理ソフトウェア市場で、オラクルはこれまで5年間シェアトップを維持しているという。ただ、日本では競争が激しいことからシェアトップには至っていない。今回の新サービスで果たして勢いをつけられるか。杉原氏の手腕が注目されるところである。
「SDNはネットワークだけでなくICT全体を見据えて取り組むべきだ」 (富士通 天満尚二 先進テクノロジー戦略室長)
富士通が先頃、SDN(Software Defined Networking)事業の取り組みについて記者説明会を開いた。同社ネットワークサービス事業本部で先進テクノロジー戦略室長を務める天満氏の冒頭の発言は、その会見で、同社が考えるSDNについて語ったものである。

富士通の天満尚二 先進テクノロジー戦略室長
富士通は2013年5月、SDNの考え方に基づいた新アーキテクチャ「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture(略称:FINCA)」を確立し、SDN事業へ本格参入した。その後、製品群を順次投入するとともに商談活動を進めている。
天満氏によると、FINCAは、データセンター、広域ネットワーク、スマートデバイスといった特性の異なる3つのICT領域を、ソフトウェアによってインテリジェントで柔軟な最適制御を実現するもので、SDNはネットワークだけでなくICT領域全体を見据えて取り組むべきものだとしている。
特性の異なる3つのICT領域でリソースを仮想化し、その仮想化したリソースを「仮想インフラ層」と「分散サービス基盤層」の2つの階層で管理・制御することで、最適なサービスレベルを実現。これによって、エンドユーザーの体感品質(Quality of Experience)を向上することが最大の目的で、こうした捉え方がSDNの取り組みにおける同社の最大の差別化ポイントだという。
会見では、FINCAにおけるデータセンター向けと広域ネットワーク向けの取り組みを説明。自社内の活用事例として、沼津ソフトウェア開発クラウドセンターの取り組みも披露された。
では、実際に商談の進み具合はどんな状況なのか。これに対する天満氏のコメントが興味深かったので、以下に記しておきたい。
「SDNの商談はクラウド化とともに動き出しつつあるが、プライベートクラウドとパブリッククラウドのどちらを選ぶかについて迷っている顧客が多く、SDN化についてもその選択を見据えながらの話なので、商談活動としてはどうしても時間がかかる傾向にある」
「とはいえ、例えば金融機関はシステム更改が迫っているところが多いので、商談としては他の産業より進んでいる。金融機関以外では自治体の動きに注目している。複数の自治体が共同でデータセンターを構築し運営するケースも相次いで出てきており、それに伴ってSDN化の検討も進んでいる」
こうした動きの中から、SDN導入に成功した企業や自治体が出てくれば、ぜひその仕組みとともに投資効果を取材してみたい。