日本オラクルは9月5日、臨床研究や治験に必要となる被験者情報を関連団体が相互に検索、閲覧することができるSaaS「Health Sciences Network」を日本でも展開することを発表した。サービスを登録した製薬会社や医療研究機関、治験ネットワーク団体向けに、治験などの被験者属性、病歴や投薬履歴などの匿名化された医療情報を蓄積する。
サービスを活用することで、臨床試験の初期段階で対象となる被験者のスクリーニングや、治験の目的、設計、根拠、条件、組織などを定める「治験プロトコル」の事前検証が可能であり、新薬の臨床開発、医療機関同士の共同研究などに役立てるとした。
Oracle Health Sciences Networkは、グローバルでは2012年6月より運用を開始しており、北米のヘルスケア団体で利用されるとともに、ニューヨークをベースにした医療機関や教育機関、製薬会社間のコンソーシアムで約200万人の被験者が登録されているという。
サービスに参加登録することで、日本からもこれらのグローバルに蓄積された患者の病歴や検査、投薬履歴などの情報を検索できる。サービスに参加している医療機関が実施した臨床研究の情報をクラウドにアップロードすることで、臨床研究での国境を越えたコラボレーションができるとした。
患者のプライバシーと情報セキュリティを確保するために米国での法令である「HIPAA」に準拠している。HIPAA(HealthInsurance Portability andAccountability Act)は、電子データ交換(EDI)やセキュリティ、医療関連データの機密保持のための標準メカニズムを定めている。
オラクルによると、従来治験や臨床試験の対象となる被験者は、このような臨床研究、企業治験、医師主導治験を実施している大規模病院や特定機能病院などの医療機関や研究機関での治験担当医師とのつながりを頼りに探索して辿り着くケースがほとんどだったという。