ニフティは9月4日、IaaS「ニフティクラウド」のエンタープライズ向け機能を大幅に強化すると発表した。強化点は、新しいネットワーク機能の追加、24時間365日有人監視サービスの追加、新しいサーバタイプの追加の3点になる。データセンター事業者のビットアイルと提携し、ニフティクラウドのOEM版を提供することもあわせて発表した。
ニフティ代表取締役社長の三竹兼司氏は「ニフティは、サービス、クラウド、回線、会員基盤という4つの事業領域がある。これらを垂直統合することで顧客に新たな付加価値を提供していくことがわれわれの戦略だ。クラウド事業の中でもIaaSは、ウェブ事業やISP事業などと組み合わせた複合的なサービスを提供するハブとなるものだ。安心安全なサービスの提供、協力各社とのパートナーシップを強めながら、さらに進化させていく」とニフティクラウドの位置付けを説明した。
ニフティ 代表取締役社長 三竹兼司氏
ニフティクラウド事業部長 上野貴也氏
クラウド事業部長の上野貴也氏は、ニフティクラウドのコアバリューとして「高い基本性能」「エンタープライズ」「パートナーシップ」を挙げた。
高い基本性能というのは、SLA99.99%以上の可用性、24時間365日の技術サポートが標準で提供されおり、高性能、高機能な豊富なオプションが提供されていること。「標準でHA(高可用性)機能がついていること、同じ仮想CPU数やメモリ容量のサーバインスタンスでも、競合他社よりパフォーマンスが高いとの評価を頂いている」(上野氏)という。
また、エンタープライズというのは、NetAppと連携した「遠隔バックアップ for NetApp」や小型アプライアンスを設置するだけで仮想専用網(VPN)が実現できる「シンプルVPN」サービス、物理機器を専有できる「専有コンポーネント」サービスなど、エンタープライズの利用で必要になる機能強化を続けてきたことを指す。
「サービスをリリースした2010年の利用用途はエンタープライズ系は19%で残りのほとんどがエンターテインメント系だったが、8月時点ではエンタープライズ系が67%にまで広がった。物理環境とニフティクラウドの連携によるハイブリッドクラウドも増加している」という。ハイブリッドクラウドの形態としては、たとえば、閉域網専用線やVPNで顧客データセンターとニフティクラウドを接続するものや、専有コンポーネントサービスを使ってニフティクラウドとIDCを直結するケースがある。
パートナーシップというのは、「NIFTY Cloudパートナープログラム」を通して、180を超えるパートナーから販売、ソリューション提案、付加価値サービスの提供が行われること。販売パートナー経由の売り上げは、全体の60%を超えているという。
上野氏によると、今回のエンタープライズ向け機能の強化は、これらのコアバリューをさらに強めるものだ。
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ネットワーク機能の強化は、「いまある環境がクラウドにそのままつながる」ことが大きな特徴。オンプレミスのネットワーク定義をそのままクラウドで再現できるようにしたほか、顧客環境とクラウドを同一サブネット上に構築できる。これにより、IPアドレスを変えずにクラウドに移行できるほか、システムの段階的なクラウド移行が容易にできるようになった。
具体的には、ニフティクラウド上で、NAT機能やDHCP機能を持つ「ルータ」、L2TPv3/IPsecによる「VPNゲートウェイ」、「プライベートLAN(VLAN)」機能を提供する。それぞれは、月額または従量の料金プランから選択できる。プライベートLANの場合は、税別で月額5000円または1時間9円となる。11月から提供する。