デジタルマーケティングは日本企業にとってチャンス
アドビのMarketing Cloudと競合するサービスとしては、「IBM Marketing Center」「Oracle Marketing Cloud」「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」が挙げられる。
クラウドを活用してデジタルマーケティングの機能を統合化したプラットフォームをグローバルに展開しているITベンダーは、今のところ、この4社くらいだろう。今後はIT業界での競争もさることながら、さまざまなマーケティング関連企業との合従連衡の動きも活発化し、デジタルマーケティングの中身もさらなる進化を遂げていくとみられる。
では、デジタル化の進展が果たして日本企業のマーケティングにも変革をもたらすことができるだろうか。
佐分利氏はこの疑問に対し、次のように答えた。
「日本企業のモノづくりにおける品質や付随するサービスのレベルは、世界でも最高水準だが、それだけではもはやグローバル市場で勝ち残れない時代だ。これからはそのモノの需要をどう喚起し、顧客に対して価値をいかに伝えていくかが、ますます重要になる。その意味では、新たなデジタルマーケティングへの取り組みこそが、日本企業にとって大きなチャンスになると確信している。アドビ社長としての私のミッションは、マーケティングを“経営事”にすることだ」
デジタルマーケティングは日本企業にとってチャンス。だからこそ“経営事”として取り組む必要がある――この佐分利氏の主張には全く同感である。この主張はユーザーだけでなくベンダーに対しても言えるだろう。ベンダーにもデジタルマーケティングをビジネスとして手掛ける意味、信念、そして情熱が強く求められているといえそうだ。