Intelの最高経営責任者(CEO)であるBrian Krzanich氏は米国時間9月9日、サンフランシスコで開催した「Intel Developer Forum」(IDF)で基調講演を行い、同社の将来の構想を発表した。
Krzanich氏はその構想の中で、Intelが2020年までにウェアラブルやタブレット、PC、スマートフォンを含む500億台以上のデバイスに同社のプロセッサを搭載する計画であることを示した。
PCとタブレット
IntelのPCクライアントグループのゼネラルマネージャーであるKirk Skaugen氏によると、同社はPCとモバイルデバイスを一変させるテクノロジを計画しているという。
「われわれの思い描く世界では、今から数年後、3Dジェスチャーとタッチ、および音声認識ベースのUIの実現に加えて、ケーブルやパスワードを撤廃し、顔認証などのバイオメトリクス認証だけでウェブサイトやコンピュータにアクセスできるようになっている」(Skaugen氏)
同氏は、2in1ノートPCはモバイルコンピューティングの分野で最も急速に成長しているカテゴリの1つだと述べ、Intelの「Core M」プロセッサを紹介した。Core Mはファンレスの2in1ノートPCの製造を可能にするプロセッサで、2014年に出荷予定だ。
Intelは、AcerやASUS、Dell、Hewlett-Packard(HP)、Lenovo、Wistronなどが発売予定の8種類の2in1デバイスを披露した。Intelベースのファンレスタブレットやスタンドアロン型デバイス、2in1デバイスは、現在世界で最も高性能のタブレット群より薄くなる予定で、3倍のパフォーマンスと2倍のグラフィックス性能を提供する、とSkaugen氏は主張している。
Krzanich氏によると、同社は、出荷される4000万台のタブレットにIntelプロセッサを搭載するという目標は「達成できる見通し」だという。また、2014年第2四半期に出荷されたタブレットのプロセッサの中で、Intelのプロセッサは2番目に人気があったという。
これらの超薄型タブレットの1つがIDFで披露された。Dellの「Venue 8 7000」シリーズのタブレットだ。厚さ6mmのこのタブレット(Michael Dell氏によると、世界で最も薄いタブレットの1つだという)は2K解像度の8.4インチOLEDスクリーンを備えており、11月上旬に発売される予定だ。
Dellの「Venue 8 7000」シリーズ。
提供:Intel
同タブレットはIntelの「RealSense Snapshot」深度センサも搭載する。RealSenseは複数のカメラで構成されており、写真撮影時に深度情報を記録する。
その情報はさまざまな目的に利用することが可能だ。壇上では、写真のピントを前景から背景に移したり、写真からソファーの寸法を正確に測定したり、深度によってシーン内のさまざまな物体の色が変化する様子を示したりするデモが行われた。
さらに、Intelは、開発者が深度センサ搭載カメラの機能を利用できるように、RealSenseのソフトウェア開発キット(SDK)とともに、「Intel Context Sensing」のSDKを作成した。後者は、加速度センサやコンパス、ジャイロスコープ、GPSといったセンサからのデータを簡単に操作できるツール群を提供する。
同社は、「Android」のリファレンスプラットフォームとしての役割を果たす、Intelの「Bay Trail」ベースの7インチタブレットも開発した。このタブレットは2014年中に発売される予定で、「こうしたデバイスを市場に投入するわれわれの力を加速させるだろう」とSkaugen氏は述べている。