情報の発信も容易になりました。発信するメディアと受信する大衆という関係が崩れ、相互に発信も受信も反応もする時代です。記事を読んでいる際に、参考になりそうなものがあれば、ソーシャルメディアで共有する――こんなことはごく当たり前の行為になりました。
特定のモノやことがらについて知り、それに興味を持つ、興味をもったモノやことがらを調べる、モノであれば良いと思う、ことがらであれば関連するモノを知り、さらに調べる、モノを試してみる、良ければ共有する――。インターネット以前から同じような行動はもちろん取られていましたが、その敷居がぐっと下がったことに疑念の余地はないでしょう。
メールもこの15年で飛躍的に普及したものの1つです。例えばスマホの位置情報と連携し、特定のエリアに入ったら自動で送信する仕組み(ジオフェンシング)など、進化が続いています。
これらの現象や行為を支えている基盤はまぎれもなくIT(ICT)であり、それらをマーケティングに活用しようという流れもITなくしては実現できない状況です。マーケティングは簡潔に言ってしまえば、いかにして製品やサービスを売るかがキーになります。
冒頭の2点に即して言えば、高精度なターゲティングを通じて、多くの有望な見込客に効率良く出会うこと。そして相手の状況に応じた“紹介”すなわちコミュニケーションをして買ってもらうことが鍵になります。このコミュニケーションの優劣を成果の見える化によってすばやく把握し、改善策を実施して最適化していくことと表現できます。
では、これらを実現するためのIT製品やサービスにはどのような種類のものがあるでしょうか。まず昨今注目を集めているのがアドテクと呼ばれる広告配信の最適化のためのシステムです。先にテレビCMと検索連動型広告の例で説明しましたが、従来の広告は「枠」を買ってそこに広告を出す方式がメインでした。
さまざまなマーケティングツール
例えばネット上でのバナー広告であれば、Yahoo!のトップページの300ピクセル×600ピクセルサイズのバナーというように、場所を指定して、そこにどれくらいの期間出稿するかを決めていました。
これに対して、データマネジメントプラットフォーム(DMP)と呼ばれるシステムで、自社サイトへアクセスした人の属性や、メディアサイトで収集された閲覧者データをクッキーで紐付けて、特定のページを閲覧した人だけに広告を出すことができるようになりました。
その際には、リアルタイムビッティング(RTB)と呼ばれる仕組みが裏で動作しており、人がサイトにアクセスした瞬間にその人の属性に対して最も高い値段で入札をしている広告を表示するというものです。
また、このRTBに出稿するための仕組みとしてデマンドサイドプラットフォーム(DSP)というシステムも必要になります。今後、この分野に関して言えば、ウェブ上の広告だけでなくテレビCMやデジタルサイネージなどへの活用が期待されています。