インメモリデータベースの正体

既存システムでは限界--インメモリデータベース登場の背景を見る - (page 3)

小森博之(日本HP)

2014-10-02 07:00

 インメモリデータベースのもう1つの特徴が、検索処理が更新処理に与える影響が小さいということです。従来型のデータベースでは検索処理ではハードディスクからの読み出しが、更新処理ではハードディスクへの書き込みが主に発生するため、安定した性能を確保するために処理特性によってシステムを分けて実装することが普通です。

 大量データの検索処理を実施するデータウェアハウスシステムは、更新処理中心の受注システムなどとは別々に実装されてきています。ところが、インメモリデータベースでは検索処理が更新処理に与える影響が小さいため、1つのシステムとして実装することが可能になります。

 1つのシステムとすることで、管理するシステムを減らし、更新システムからデータウェアハウスシステムへのデータ転送処理をなくして管理工数を削減するメリットが得られます。さらに入力したデータがそのまま検索対象となりますので、リアルタイムの経営状況を分析することが可能になります。

 当日の売り上げや在庫状況を見ながら価格付けを変えるなど、最新の分析結果により経営判断をすることが可能になります。

 このように大きなメリットがあり注目を集めているインメモリデータベースですが、実は製品によって実装方法と機能には違いがあります。次回はその違いを見ていきたいと思います。

小森博之
日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター データベースソリューション部 シニアITスペシャリスト。
1985年4月、横河ヒューレット・パッカード(現 日本ヒューレット・パッカード株式会社)に入社。生産管理システム、ERPなどデータベースを使用したシステム導入に従事した後、各種データベース製品および関連製品を担当。現在はビッグデータ向けを含め幅広いデータベース製品を対象、に最適なデータベースとインフラストラクチャの組み合わせの提案を実施中

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