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カスタマーサービスはマーケティングに進化する--Zendesk スヴェーンCEO - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-09-25 16:40

--問い合わせのメディア別の割合は。ソーシャルメディアは増えているか。

 ソーシャルメディアはひとつのチャネルに過ぎません。ソーシャルメディアの中にもLINEやWhatsUpなど新しいものが次々に登場しています。ただし、メッセージのプラットフォームとして、ソーシャルメディアがコミュニケーションの窓口になることは、今の時代に合った形だと考えています。企業がそういった新しいチャネルを取り入れることは、今後オプションではなく必須になっていく、使わざるを得なくなるというのが、われわれの見ている時代の風潮です。

 メールが身近になったときにも、最初は抵抗がありながらも便利さからすぐに普及しました。同様に、ソーシャルメディアも時間とともに必要性が顕著に表れると考えています。実際にZendeskでも、2011~2012年の1年間でFacebookが新しい窓口として利用率が急激に増加していますし、今はもっと多いでしょう。

製品にカスタマーサービスを組み込む

--顧客に事前対策的にアプローチする仕組みとは。

 ソーシャルゲームの会社がいい例です。アプリ経由でデータを集めることはもちろんですが、顧客にとってカスタマーサポートやカスタマーサービスにわざわざ連絡をすることなく、アプリ内の体験そのものがサービスになるような仕組みを提供しています。例えばZendeskを使うことで、顧客がアプリでどのようなゲームをしているのか、どのような行動をしているのかを含めて収集し、アプリ内でカスタマーサービスを提供できる環境を構築できます。

 具体的には、ある顧客の経験から次の顧客の満足度をより高くするために必要なアクションがわかるツールになっています。例えば、タクシー配車サービスの「Uber」では、利用した顧客が乗車後に最後に星で採点します。星5つが大満足ということになりますが、評価が星1つだったときにはドライバーにも通知されます。それはZendeskのワークフローに自動的に取り込まれているトリガーによって通知されるのですが、それにより顧客に対して「申し訳ありません。何がお気に召さなかったのでしょうか」と対応できます。

 顧客のフィードバックを直に受け取ることで、次にどんなことをすれば顧客が満足できるかというアクションにつなげることができます。悪い経験をいかに良くしていくか、そういった先を見たアクションを起こすことができることが特徴です。このように、個々の顧客に対してカスタマイズ、パーソナライズしたサービスの経験を得ることができるような使い方が可能なのです。

--Zendeskの特徴的な事例は。

 顧客と向き合うためのカスタマーサービスを、従業員の生産性の向上のために使うケースもあります。カスタマーサービスのソフトウェアといっても、社外向けの顧客だけではありません。現在では誰もが顧客になり得ます。従業員も顧客になるのです。そういう従業員向けサービスに使われるケースも多くあります。

 これは世界中に活用事例があり、7割が社外向け、3割が社内向けのサービスに使われています。これは日本でも多くなっています。IT部門やファシリティ、セールス、マーケティング、さまざまな部門内で社内のコミュニケーションのために使っています。もちろん、Zendesk社内でも共通のプラットフォームとして使っています。Zendeskによって人事や給与関係、ファシリティのマネージメント、開発プロジェクト、マーケティングなど、コミュニケーション分野の社内の問題を解決することができます。

 大元では社外向けのカスタマーサービス用途ですが、それが社内という違った認識で使われ方をしています。例としてAdobe Systemsが挙げられます。最初は1つの事業部でZendeskを使っていたのが、グローバルサポート、ヘルプデスク、技術サポート、事業部、生産サポート、法務、クラウドサービス、あらゆる部署で使われるようになっています。すべての部署でコミュニケーションの連携がとれるようになりました。これは、アジャイルな大企業だからできたことかも知れません。


Zendesk提供

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