「Ubuntu Linux」の開発を手がけるCanonicalは数カ月前、思いがけずヒット製品を手にした。それが「Ubuntu Orange Box」だ。「OpenStack」クラウド・イン・ア・ボックスであるこの製品は、コンシューマー向けのコンポーネントを使って作られているものの、5月に開催された「OpenStack Summit」の花形となった。
それから数カ月が経ち、CanonicalはAMDと提携し、OpenStackクラウド・イン・ア・ボックスというアイデアを、OpenStackクラウド・イン・ア・ラックというところにまで推し進めた。要するに、大企業での使用に耐えられる、はるかにハイエンドのハードウェア、すなわちAMDの「SeaMicro SM15000」サーバを用いた製品を作るということだ。ラックマウント型のこのサーバ群には「Ubuntu LTS 14.04」とOpenStackが搭載されている。また、セットアップと管理を容易にするために、同製品にはCanonicalの「Metal-as-a-Service」(MaaS)とDevOpsプログラム「Juju」も搭載されている。
AMDとCanonicalは、大企業向けのすぐに使えるOpenStackプライベートクラウド製品を提供するべく提携した。
この製品の目的は、大企業が自社のOpenStackプライベートクラウドをラック上で実現できるようにするというものだ。AMDのコーポレートバイスプレジデントであり、データセンターサーバソリューション担当ゼネラルマネージャーでもあるDhiraj Mallick氏は声明で、「AMDとCanonicalは、OpenStackテクノロジの配備にまつわる複雑さを解消した統合ソリューションを作り上げるために、莫大なエンジニアリングリソースを注ぎ込んできた。SM15000 サーバとUbuntu LTS 14.04、OpenStackによって(中略)大金を投じて専門サービスを利用したり、新たな人材を雇用せずとも、容易に配備できるOpenStackソリューションが求められているという業界のニーズが満たされる」と述べている。
同製品で採用されているSeaMicro SM15000は、気の弱い企業や資金力に乏しい企業が購入できるシステムではない。このシステムは10個のラックユニットで構成され、512個のCPUコアをリンクし、160ギガビットのI/Oネットワーキング性能を有し、5ペタバイト以上のストレージに、高パフォーマンススーパーコンピュートファブリック「Freedom」を搭載している。
もちろん、AMDが潜在顧客に向けて真っ先に述べているように「SM15000サーバによって、トップオブラック(ToR)スイッチや、ターミナルサーバ、数百本のケーブル、何千個もの不要なコンポーネントをなくし、より効率的でシンプルな運用環境が実現できる」。言い換えれば、SM15000サーバは安いものではないが、代替ソリューションと比べるとそれでもまだ安いということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。