Larry Ellison氏がOracleの最高経営責任者(CEO)を辞任して最高技術責任者(CTO)に就任し、Safra Catz氏とMark Hurd氏が共同CEOに就任した人事は、同社のアプローチや日々の業務、戦略は何も変わらないという約束によって、丸く収められた。このOracleの進路を維持するという約束は、良いことなのだろうか。
現実的に考えてみよう。どのみちCatz氏とHurd氏が実質的に同社を経営していたことを考えると、Ellison氏がCEOを辞任したからといって大きな変化はないかもしれない。Ellison氏はテクノロジと戦略の方向性に関して重要な役割を果たしたが、国際ヨットレースであるアメリカスカップの自身のチームを率いる方が気楽だという印象を与えることも多々あった。
肩書きが変わることを除けば、Ellison氏とCatz氏、Hurd氏はこれまでと同じ業務を担当する可能性が高い。問題は、Oracleがテクノロジ企業からクロスセリングを行う企業に移行したことだ。Oracleはソフトウェア企業やクラウド企業、ハードウェア企業を買収し、それらの企業の製品やサービスをバンドルして販売する。それにもかかわらず、Oracleは、クラウドへの移行から、ハードウェア売り上げの低下、さらに、ビッグデータのワークロードに関して同社の中核的なリレーショナルデータベースだけでなく代替製品も使う可能性が高い顧客ベースまで、さまざまな課題に直面している。言い換えると、データベースの選択肢はOracleだけではないということだ。
筆者が考えさせられたやり取りを紹介する。
Deutsche BankのアナリストであるKarl Keirstead氏は次のように述べた。
経営陣の再編について質問が戻るのだが、特に、今回の人事がOracleの組織のほかの部分に及ぼす影響について、もう少し詳しく教えていただきたい。Safra氏、あなたは最高財務責任者(CFO)の役割について少し言及された。大きな変化はない、というのがあなたのメッセージだったと私は解釈している。Mark氏にも質問がある。あなたが新しい役割への移行を進める中で、セールス部門の経営や組織にも変化が及ぶのだろうか。
Catz氏は次のように答えている。
Karl、当社の考えは明白であることをはっきりさせておきたい。実際のところ、変化は全くないだろう。大きな変化はない、ということではない。変化は全くないということを明確にしておきたい。
Hurd氏は次のように答えている。
素っ気ない返事はしたくないのだが、Oracleが非常にフラットだとは私は考えていない。Oracleの経営方法については、われわれはその状態を維持したいと考えている。したがって、私は現場から離れていくのではなく、いつも現場に近いところにいたい。だから、率直に言って、あなたの質問に対する答えは、ノーだ。だが、あなたが答え以外の部分もちゃんと理解してくれたことを願っている。