オラクルの経営陣再編--吉と出るか、凶と出るか - (page 2)

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2014-09-25 06:30

 Oracleの戦略(クラウドを活用し、アプリケーションで勝利を収め、インメモリオプションでデータベース顧客を保持する)がうまく行く可能性はある。しかし、移行には時間がかかるだろう。Catz氏とHurd氏が共同CEOになったことで、顧客と投資家はOracleに対して、Ellison氏の時代より忍耐強くいられるだろうか。それとも、その逆になるだろうか。顧客と投資家は、Oracleの精力的な共同CEOに対して、Ellison氏の時代ほど忍耐強くはならないと考えてほぼ間違いないだろう。顧客の反応については、米国時間9月28日にサンフランシスコで開幕予定のOracleの「OpenWorld」カンファレンスで、より詳しいことが分かるはずだ。

 Oracleが直面する課題の数々を以下で簡潔に説明する。

クラウド。先頃、Oracleの第1四半期決算発表の電話会議で、幹部陣はことあるごとにWorkdayをけなした。Hurd氏は人的資本管理(HCM:人的資源や給与、資質)に関してより多くの勝利を収めたと豪語し、Oracleが1四半期に新規獲得した顧客数はWorkdayが創設してから今までに獲得した顧客数より多いと指摘した。さらに、Oracleは地球上で最大のクラウド企業になることを目指すと述べた。しかし、クラウドの売り上げが伸びると、アプリケーションのライセンス供与が減少する。一方で、Oracleのクラウド分野での勝利は、今までと異なるビジネスモデルの下で顧客を保持するための自衛策なのか、それとも、新たな未開拓分野への進出なのかは不明だ。

データベース。WedbushのアナリストであるSteve Koenig氏は、「Oracleの新しいインメモリおよびマルチテナントオプションを考慮すると、データベースの業績は、われわれが期待したほどの結果ではなかった」と述べた。Oracleの「12c」製品サイクルには、注目する価値がある。なぜなら、同製品は、同社の将来の経営状態について知るべきことをすべて教えてくれるからだ。さらに、Ellison氏はOpenWorldで発表される予定の、OracleのDatabase as a Service(DBaaS)を宣伝した。

アプリケーション。Oracleは自社のアプリケーション顧客をサブスクリプションおよびクラウドデリバリモデルへ移行させようとしている。しかし、クラウド顧客の囲い込みはそれほど容易ではない。Oracleはそれらのアプリ顧客を囲い込み続けるために、絶えず革新を提供しなければならないだろう。

ハードウェア。何年も前から、Oracleのハードウェア事業は不振にあえいでいる。2015会計年度第1四半期決算では、ハードウェアの不振が浮き彫りになった。Oracleの設計したシステムの売れ行きは好調だが、ハイエンドサーバが打撃を受けている。Oracleは、ハードウェア部門の重要性を高めるため、ハイエンドシステムを当てにしている。

業績の不振。Oracleはこの7四半期のうち5四半期で予測を下回った。ある時点で、忍耐も限界を迎えるだろう。

 ひょっとしたら、Oracleはこれらの激動のテクノロジ分野を進んでいくのに理想的な戦略を持っているのかもしれない。あるいは、Oracleに必要なのは、販売アプローチからロードマップ、重役陣まで、あらゆることに手を加えることなのかもしれない。端的に言って、何も変わらないとOracleが約束するのは、極めて時期尚早だ。それらの約束を守れば、非常に恐ろしいことになる可能性がある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]