帳簿を預かっている営業担当者が、いつもクレジットカードをバーの従業員に手渡していることを考えてみてほしい。Apple Payがあれば、小売店でクレジットカード番号を知られることはなく、名前さえ知らせる必要がない。誰にも情報を渡さずに済むし、カードがスキミングされることもなくなる。われわれの生活が署名からPINに移行しつつあることを考えると、多くの従業員はTouch IDで支払いができるのを歓迎するだろう。顧客との長い昼食を終えた後でPINを思い出せないということはなくなり、指先だけで支払いができる。また、Apple Payは従業員の経費自動精算システムへの扉を開く。
デモンストレーションでは示されなかったが、Apple Payはおそらく領収書をiPhone 6に登録された電子メールアドレスに送信するだろう。電子メールアプリケーションに簡単にルールを追加するだけで、領収書をオンライン会計プログラムや、Sheboxed、Receipt Bank、Expensfy、Concurなどの領収書スキャンサービスに転送することができるはずだ。これで、月末に財布いっぱいになった紙の領収書を処理する必要はなくなる。また、企業オーナーもリアルタイムで立て替え経費を処理できることの大きなメリットを理解するはずだ。
悪い点:Appleのモバイル戦略には、まだ修正すべき弱点がある。
1.Officeスイートの欠如
ビジネスユーザーにとって、2大クラウド生産性スイートである「Microsoft Office 365」と「Google Apps」が統合されていないのは大きな問題だ。これらは強力な競合他社のサービスであるとは言え、Appleが最新のデバイスに、ビジネスユーザーの多くが使っているツールを統合していないのは残念だ。
2.音質の悪さ
サムスンがAppleに対抗する動画で指摘したように、iPhone 6のスピーカは前面スクリーンではなく、下側面についている。ノイズの多い電話会議でスピーカモードを使う場合は、少し問題になるかも知れない。
3.大きいことが美しいとは限らない
誰もが大きいスマートフォンを好んでいるわけではない。頻繁に電話するユーザーなら、デスクに座っているときに、ズボンのポケットから5.5インチの金属とガラスのかたまりをたびたび取り出すのはうんざりするかもしれない。とは言っても、幅の広いスマートフォンは、外周が同じであればより扱いやすいと言われている。
iPhoneは企業の世界では、Androidと十分に戦えるだろう。大きな画面とセキュリティ機能によって、以前のバージョンよりも使い勝手が向上している。Steve Jobs氏はもういないが、Appleがどこかに行ってしまうことはないといってよさそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。