外資系日本法人社長の唐突な交代の背景
だが、これを機会に、一言もの申しておきたい。というのは、今回のSAPジャパンもそうだが、外資系日本法人の社長交代は唐突に発表されることが少なくない。その際、不可解さが残るのは、交代の理由が一切明らかにされないケースが多いことだ。最近でいえば、シマンテックや日本オラクルもそうだ。
日本法人をはじめ、外資系の現地法人の社長人事は、日本企業に比べて極めてドライなケースが多い。実際には、交代のほとんどの理由が業績不振だ。場合によっては、不振でなくてもコミットした目標に達しなければ更迭されることもある。契約に基づくものであり、そうした会社にとってマイナスイメージになることを、社長交代の際にわざわざ公表する必要はないというのが、外資系企業の考え方のようだ。
しかし、SAPジャパンやシマンテック、日本オラクルといった大手は、日本の名だたる企業を顧客に持つ。それぞれの会社を代表する“顔”である社長は、交渉事の重要な局面で重要な役割を果たすことも少なくないだろう。その社長が突然、更迭の理由も明らかにされないままいなくなるのは、顧客に対して失礼なのではないか。
メディアへは社長交代の事実だけを発表して、顧客へは理由を説明しているかどうかは別にして、影響のないことだけは明確かつ丁寧に伝えているとみられるが、果たして潜在顧客、さらには世間にどう映るだろうか。ブランドイメージが上がるとは思えない。
これもビジネス文化の違いといえば、それまでだが、何とも不可解な思いがするのは筆者だけだろうか。少なくとも多くの顧客企業のIT基盤を支える影響力の大きい外資系企業には、少しでも不可解さを払拭する努力をしてもらいたいものである。