本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、シスコシステムズの俵雄一 執行役員と、ファイア・アイの本城信輔 FireEye Labsシニア・スタッフ・リサーチ・アナリストの発言を紹介する。
「Cisco UCSはx86ブレードサーバ市場で最も早い成長を遂げている」 (シスコシステムズ 俵雄一 執行役員)
シスコシステムズの俵雄一 執行役員
シスコシステムズが先頃、サーバ製品「Cisco UCS(Unified Computing System)」の新製品として、企業の支店などの拠点(エッジ)に向けた中小規模の「Cisco UCS Mini」と、クラウドのような大規模構成向けの高密度サーバ「Cisco UCS Mシリーズ」を発表した。
同社データセンター/バーチャライゼーション事業担当で執行役員を務める俵氏の冒頭の発言は、その発表会見で、シスコがCisco UCSによってサーバ分野に参入しておよそ5年が経過した中で急成長を遂げていることを強調したものである。
新製品の内容はすでに報道されているので他稿を参照いただくとして、俵氏は今回の発表について、「従来のデータセンター向けに加えて、Cisco UCSはエッジやクラウド規模にも対応できるようになった。社内では今回の進化を“UCS 2.0”と呼んでいる」と語った。
Cisco UCSの大きな特徴は、高速なネットワークインタフェースでサーバ間接続を統合したことにより、関連機器を物理的に減らすとともに、拡張してもネットワーク接続がシンプルに保たれることから、無駄のないシステムを維持できる点だ。さらにネットワーク機器も含めた統合管理が可能なことから、導入や構築から運用管理まですべてのプロセスでコスト削減につながるという。
俵氏によると、Cisco UCSはこれまで5年間で3万6500社を超えるユーザーを獲得し、世界のx86ブレードサーバ市場では3割近いシェアで第2位、特に米国市場では4割を超えるシェアで第1位を確保。販売パートナーも世界で3600社を超え、日本を含む17カ国の市場で前年比30%以上の売り上げ成長を遂げているという。
Cisco UCSが好調だとは、いろいろなところから筆者の耳にも入ってきていたが、俵氏の話によると、まさしく絶好調という感じだ。製品およびソリューションコンセプトが的中したとみられるが、会見の質疑応答であえて、Cisco UCSはなぜ売れているのか、聞いてみた。すると俵氏はこう答えた。
「ITシステムの仮想化およびクラウド化が進む中で、仮想化によるサーバ環境の構築時にサーバ間を接続するネットワークが複雑になってしまい、運用管理の負担が逆に増えてしまうケースが多く見られるようになってきた。Cisco UCSはこうした顧客の課題に対応したもので、とりわけ運用管理が容易になったとの声が多数寄せられており、そうした評価が好調につながっている」