オラクルのM・ハード共同CEO、「CIOはエンタープライズIT分野で最も厳しい仕事」

Rachel King (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2014-09-30 11:52

 共同最高経営責任者(CEO)に先ごろ就任したMark Hurd氏は米国時間9月29日、前日の会長兼最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏による開幕キーノートに続き、Oracle OpenWorldの基調講演に登壇した。

 その中で同氏は、現在のIT業界における実状と、それに対する同社の見解を語った。Hurd氏によれば、ITに求められる要素は国によって多少は異なるが、その根幹に横たわる問題は共通だという。

 Hurd氏は、企業で利用されているエンタープライズアプリケーションの75%が20年以上も前に導入されたもので、それらの大半が企業独自のものであることから、標準規格に基づいておらず、柔軟性を欠いていると語った。また、今日におけるIT支出の80%以上が、技術革新ではなくレガシーなアプリケーションの保守管理に費やされている現状への危機感を示した。こうした状況の中、数々の難問に直面する企業のCIOは「業界で最も厳しい仕事だ」という。

 基調講演には並み居る著名企業のCIO達がゲストとして登場した。全米展開するチェーンドラッグストアWalgreensのCIOであるTimothy Theriault氏は、同社のシステムは一部が老朽化しており、一刻も早いアップグレードが必要であることを認めたうえで、全社で進行中の大規模なシステム開発プロジェクトに触れ、英国を拠点とするチェーンドラッグストアBootsとの合併計画によるグローバル展開の強化と、予防接種サービスや研究施設の拡充について紹介した。

 Procter & Gamble(P&G)のCIOであるFilippo Passerini氏は、全社的にITシステムが大幅に改善されたと語った。同氏は、クラウドに移行する場合はコストの削減効果だけでなく、変化に伴って発生するコストにも目を向けるべきだとしたうえで、P&Gではそのコストをネガティブな要素としてとらえず、世界に40億人の顧客を抱えるグローバルなサプライチェーンを革新する起爆剤への投資だと考えていると述べた。最も重要な目標の1つは、こうした投資や技術革新をフルに活用し、ビジネスの意思決定プロセスを加速することだとPasserini氏は強調した。

 XeroxのCIOであるStephen Little氏は、同社が扱うレガシー機器の市場があまり活発ではないとの冗談を交えつつ、ITシステムの課題に積極的に取り組む姿勢を示した。Little氏は、Xeroxでは人事および給与システムが全世界で150以上に分散しており、それらを標準化されたクラウドベースのモデルに置換するプロジェクトに着手したばかりであると紹介した。

 IntelのCIOであるKim Stevenson氏は、あらゆる企業や産業が大変革の時期を迎えているとの考え方を示したうえで、プロセッサ企業であるIntel自身が経験した大変革について語った。同氏は、PC中心のビジネスを展開していたIntelがモバイルファーストのビジネスへ移行し、ファッションブランドと提携してウェアラブルを開発したり、コネクテッドカーのプラットフォームを開発するのに伴い、短期間で消費者製品の企業からB2B企業へと変貌した際の経緯について紹介した。またStevenson氏は、従来のエンタープライズワークロードをSaaSに移行するプロジェクトに着手するなど、Intelでは現在も複数の大規模な変革プロジェクトが進行中であると強調した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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