レノボ、HPへの反撃を表明--IBMのx86サーバ事業買収を10月1日に完了へ

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2014-09-30 13:03

 Lenovoの会長兼最高経営責任者(CEO)楊元慶氏は、IBMが保有していたサーバ事業の買収が10月1日付で完了することで、Lenovoは世界第3位のサーバベンダーになると述べた。IBMのサーバ事業買収により、Lenovoには製造上のノウハウや特許だけでなく、「グローバルなエクスペリエンス」がもたらされるという。楊氏は電話会議で「既存顧客のシームレスな移行を確実なものとする」と述べたうえで、「われわれは、ODMやOEMを手がける競合他社に勝つことができる。われわれは地理的なリーチを拡大し、目覚ましい成長を遂げる」と語った。

 Lenovo Groupのエグゼクティブバイスプレジデントであり、Enterprise Business GroupとAmericas GroupのプレジデントでもあるGerry Smith氏は「ナンバーワンになるのは容易ではないが、われわれは必ず成し遂げるつもりだ」と述べた。Smith氏は、IBMのPC事業を2005年に買収した後の成功を繰り返せると予測しており、企業向けサーバ事業が中規模市場を制し、新興市場で成長すると述べた。

 強化されたLenovoのサーバ事業に対する競合は主にHewlett-Packard(HP)であり、HPはIBMのx86顧客に向けた顧客獲得活動を積極的に展開していた。Lenovoの幹部らは、同社の支払額が1月に発表されていた23億ドルではなく21億ドルとなった理由を問われた。この質問の意図は、IBMのx86サーバ事業が不振であるため、買収価格が引き下げられたのかというところにある。Lenovoによると、価格変更の理由は前受収益と棚卸評価額にあるという。Smith氏はIBMとLenovoが沈黙期間中にあったためコメントすることができなかったのだ。

 市場調査会社IDCのデータによると、HPによる取り組みは功を奏したという。IBMは第2四半期、市場シェアを前年同期の27.0%から23.3%に落としている。一方、HPは市場シェアをわずかに伸ばし、Cisco Systemsも伸ばした。


サーバーシステムベンダー上位5社による2014年第2四半期の世界売上高(単位:百万ドル)

 Lenovoは、FAQ文書でこのFUD(編集部注:競合製品に対する不安、不確実性、疑念をあおるマーケティング戦術)問題に対応している。

 同FAQ文書における該当箇所は以下の通り。

 質問5:IBMのサーバ事業買収が発表されて以来、HPはIBMのx86顧客に対して積極的に働きかけ、かなりの数の顧客を獲得している。買収条件の変更は、買収発表以降にサーバ事業が落ち込んだためなのか。

 答え:そうではない。大騒ぎし、大げさな物言いをしてきている競合企業もあるが、当局による買収承認プロセスが完了するまでの間、Lenovoには沈黙期間が課されていたという点を思い返してもらいたい。こうした主張の多くは、買収取引の完了に関する疑いと不確実性から生じていた。世界中の適切な規制当局が取引を承認したことにより、こうした懸念は十分に払拭された。取引が完了した現在(2014年10月1日付)、Lenovoが攻撃態勢を取るとともに、「System X」テクノロジ、Lenovoのオペレーションの優位性と結び付いた製品とサービス、そしてカスタマーフォーカスの組み合わせが、実際いかにエンタープライズの将来に向けた勝利を招く組み合わせであるかを、ビジネスパートナーや顧客に対して示すものと期待してほしい。

 IBMとの取引が完了した今、Lenovoにとって本当に面白い展開が始まる。Lenovoはシェアを奪還するために、攻撃的な販売と価格設定をしてくることが予想される。「われわれは反撃する」と楊氏は述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]