トヨタ中国向け開発拠点、SaaS上でサプライチェーン全体を可視化

NO BUDGET

2014-09-30 17:58

 トヨタ自動車の中国市場向け自動車開発拠点であるトヨタ自動車研究開発センター(中国)有限会社(TMEC)は、現地生産拠点、複数の部品供給業者(サプライヤー)の間で効率的にネット上で調達、物流の取引環境を実現するシステムを開発し、運用を開始した。日立製作所が9月30日に発表した。

 TMECは、中国生産車の現地量産に向けて試作開発車用の部品調達を管理している。日本のトヨタ自動車の試作、開発ニーズに基づいた部品の発注情報を、中国国内9カ所の生産拠点に展開し、各生産拠点から中国現地の約1000社のサプライヤーに部品を発注するとともに、試作車を組み立てる日本に調達した部品を輸出するなど、一連の試作車開発に向けた調達業務の管理を担っている。

 これまでは、注文データの作成から発注、納期回答、出荷までの調達業務を表計算ソフトやメール、電話を使って人手で進捗を管理、状況を把握していた。発注量が年々増加しており各工程での作業遅延が課題となっていた。

 対策として、発注業務全体をシステム化し、業務の流れを可視化することで、多拠点にまたがるサプライチェーン全体の情報管理や進捗管理のための仕組みを検討していた。そこから、日立が提供するSaaS「TWX-21」を基盤にすることを決定した。

 TMECのシステムは、TMECや9つの生産拠点、サプライヤー各社、物流会社で行われる発注から価格調整、納期回答、集荷、納品にいたるまでの調達と物流の業務プロセスを共通的にブラウザで管理できる。生産拠点やサプライヤー各社、物流会社などがアクセス権限に応じて利用し、出荷日や納期などデータの整合性のチェックを図るとともに、各業務の進捗確認ができるなど、サプライチェーン全体を可視化している。

 すべての拠点から発注内容と進捗状況が画面上でリアルタイムに確認、一元管理できるため、遅延しているフェーズを迅速に把握できるという。TMECでは、進捗把握にかかる時間が、従来の手作業による場合と比較して約20分の1にまで低減するなど、部品の発注や進捗管理などの業務負荷を軽減し、現地量産に向けた品質管理など本来業務に専念することが可能となったとしている。

 現在、TMECでは約400社のサプライヤー間での調達業務に利用しており、今後、約1000社へ利用を拡大していく予定。

システム概要図
システム概要図(日立提供)

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