米Oracleは年次ユーザーカンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco2014」を米国時間の9月28日から開催している。3日目を迎えた30日の基調講演は米Oracleの製品担当エグゼクティブバイスプレジデント、Thomas Kurian氏が務め、「Hadoop」を含めたあらゆるデータソースにSQLによるクエリを発行できるようにしていることを強調。また、Hadoopと連携するための基盤として新たに「Big Data Discovery」を提供することなどを発表した。
Kurian氏の講演テーマは「The Full Dimension of Cloud Services for the Modern Enterprise」。近代的なエンタープライズITに向けた全方位的なクラウドサービスを、Oracleが提供していくという内容だった。
初日の基調講演で、最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏が強調したメッセージは、IaaS、PaaS、SaaSというクラウドのスタック全体を本格的に提供できるのはOracleだけという内容だった。
ポイントの1つはSaaSの領域にある。米国では、統合基幹業務システム(ERP)のクラウド化が非常に速いスピードで進みつつあり、このあたりは「基幹システムにクラウドは無理」といった論調がいまだに根強い日本と少し異なっているようだ。ERPをSaaSで本格的に提供しようとしているという点を、Oracleは1つの差別化要素ととらえている。
さらに、このERPをPaaSなどのプラットフォームごと提供していることを、Oracleは強みとして強調している。ここで、Salesforce.comは「Salesforce1」としてプラットフォームを提供しているものの、Ellison氏は「Salesforce1はOracleの基盤で構築されている」と指摘。Salesforceだけでなく、SAPが買収したAribaやSuccessFactors、NetSuiteなど「SaaSのプロバイダー20のうち19がOracle DatabaseとJavaプラットフォームで構築されている」とEllison氏は繰り返し話した。
米Oracleの製品担当エグゼクティブバイスプレジデント、Thomas Kurian氏
データベース領域を核にして、PaaSをはじめとしたクラウドを構築している点に圧倒的な優位性があるというのが、Oracleの主張と言える。
この流れを受ける形で、Kurian氏はビッグデータ分析に関する新たな戦略を発表した。「Oracle Big Data Analytics Strategy」と題したKurian氏のスライドでは、Hadoopへの対応が鍵になっている。
通常のデータベースはもちろん、Hadoopの分散環境に対しても通常通りSQLを発行し、データを分析できるようにする。 7月には「Oracle Big Data SQL」を発表。Hadoopと“NoSQL”のサポートを表明していた。これは、あらゆる種類の構造化データと非構造化データをクエリの対象にできると約束するもの。さらに、Oracle Databaseの持つセキュリティ機能と暗号化機能は、HadoopとNoSQLのデータすべてに適用することができるとしている。
Kurian氏は基調講演で、今後発売する予定の製品として「Big Data Discovery」を紹介した。これは、予測、探索、データ変換、データプロファイルといった機能をHadoop上でも実行できるようにする。
Big Data Discoveryは今回初披露だった