Lenovoが反転攻勢に向けて採った苦肉の策
国内のx86サーバ市場での競争については、Lappin氏も「これまでIBMのx86サーバは4~5位に甘んじてきた。こうした状況にはもちろん満足していない。LESの設立を機に、確実に成長軌道に乗せていく」との現状認識を示した。
実際に、LenovoによるIBMのx86サーバ事業買収は、国内の顧客企業や日本IBMの販売店に大きな衝撃が走った。その理由は、Lappin氏が語った保守サービスに対する安心感もさることながら、サーバ製品としてのIBMブランドに対する信頼感が非常に根強く、それがLenovoブランドへ変わることに不安が募ったからだ。
その結果、買収完了までの8カ月余りの間に顧客離れも起きている。IDC JapanのPCサーバ市場における調査結果でも、特にこの4~6月でIBMは出荷額ベースで前年同期比18.7%減と、国内ではひとり負けとなった。
こうした事態を打開するべく、今回の会見でLappin氏が明らかにしたのは、当面はLenovoが製造するx86サーバをIBMへOEM供給するという一手だ。これによって、日本IBMの販売店は当面IBMブランドの製品を扱い続けることができるわけである。
では、当面とは具体的にどれくらいの期間なのか。Lappin氏は「短期的にはIBMブランドだが、中長期的にLenovoブランドへ移行していく」とだけ答えた。関係者によると、それぞれの製品のモデルチェンジがブランド切り替えのタイミングになりそうだ。
当面とはいえ、これは顧客企業や販売店にとって一息つけるのではないか。一方、Lenovoにとっては、当面OEM供給という形は苦肉の策だろう。ただ、顧客離れを食い止め、反転攻勢に打って出るには、とりあえず「名を捨てて実を取る」のが得策と判断したとみられる。
それというのも、x86サーバ市場には今、2015年7月の「Windows Server 2003」サポート終了に伴う新たな環境への移行という追い風が吹いているからだ。この追い風にも乗って、Lenovo x86サーバは果たして劣勢を跳ね返すことができるか、注目しておきたい。