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三国大洋のスクラップブック

「Apple SIM」で注目--アップルが“新手のMVNO”を手がける可能性 - (page 2)

三国大洋

2014-10-21 06:30

 欧州連合(EU)では何年も前からローミング料金の引き下げや撤廃に関する議論が進められているが、大きな利害が絡む話だけに、いまだに関係者間の駆け引きが続いている状況のようだ。それとは別に、米国で8月初めに「SIMロック解除法」が成立していたことも、この件に関連しそうな政治側の動きとして踏まえておくべき点かと思う。

 Apple SIMに関して、たとえばDan Frommer(QUARTZ)の書いた次の一節などを読むと、これに含まれる潜在的な面白さ、あるいは影響の大きさといったものが改めてはっきり感じ取れる。

Imagine booting up your iPhone for the first time and seeing four competing offers for your business from different operators—with short or no contract duration. Or an even deeper integration where Apple bills you as a virtual operator and constantly shops for the cheapest connection—perfect for those who travel overseas frequently.

 「iPhoneを初めて立ち上げたとき(初期設定時)に、競合する携帯通信4社からのオファー(加入促進の料金割引など)が画面上に表示される」「AppleがMVNOとしてユーザーに通信料金を請求する/一番安いサービスを常に探すのはApple側がやってくれる」。従来のMVNOサービスとの違いは、ずばりここになるのかもしれない。

 特定の携帯通信会社との関係を前提にしている――ホールセールで回線を仕入れて、料金の安さなどでユーザーに売り込もうとするのが既存のMVNOだとすれば、Apple SIMで可能になりそうな、この新手のMVNOを何と呼べばいいのか…。いずれにしても、お金の流れが変わるのは間違いなく、それに伴って端末メーカー各社と通信事業者との力関係が逆転する可能性も充分ありそうと思える。

 Appleが、オランダの大手SIMカードメーカーGemaltoと協力しながら、こうした汎用SIMを開発しているという噂が、実は2010年秋頃に表に出ていた。

 この時期にGigaOMに掲載されていたRudolf van der Bergというオランダ人コンサルタントのコラムには、Appleが独自のSIMカード――International Mobile Subscriber Identity(IMSI)付きのモノをiPhoneやiPadに採用した場合、「ユーザーは特定の携帯通信網から切り離されて、常時ローミングしている格好になる」「Appleが複数の携帯事業者とMVNO契約を結んだ上で、時と場合(場所)に応じて適切な通信網を選んで端末を自動接続接続させることも可能になる」といったことが書かれてある。「あの携帯通信会社の回線はなかなかつながらないから…」といった選択の規準も無用になる、ということかもしれない。

 今年3月には、オランダで「どんな企業でも独自にSIMカードを出せるようにする」という方針を政府が決めたというニュースも出ていたようだ。これを採り上げたGigaOM記事では「どんな企業でも」というところで、Appleや自動車メーカーのAudi、それに地元の電力会社などを挙げている。

 この時点で携帯通信事業者以外がSIMカードを発行することが合法なのはオランダだけ、となっており、今回実際に登場したApple SIMで、このあたりの問題がどう処理されているのかなどは、いまのところよく分からない。この携帯キャリアに紐付かないSIMというのは、車載通信端末などのM2M(Machin to Machine)分野ではスマートフォン/タブレット以上に切実な問題になっているらしい。

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