デジタルビジネスで何がどう変わるのか--ガートナー予測で見る10の近未来 - (page 3)

NO BUDGET 田中好伸 (編集部)

2014-10-22 13:07

 現実として、新しい製品 (場合によっては新しいビジネスモデルまでも含む) のイノベーションに重点を置くことにより、競合優位性を保てる期間の減少につながり、数多くの競合他社と代替品、また製品のイノベーションでコモディティ化が促進されると見ている。だが、永続的なブランドロイヤリティの秘訣がカスタマーエクスペリエンスであることには、変わりがないと説き明かす。

(9)2017年までに、耐久消費財を扱う、オンラインだけの小売企業“Eテイラー(E-Tailer)”の20%近くが、3D印刷を使用してパーソナライズした製品を提供するようになる

短期予測:2015年までに、耐久消費財を扱うE-Tailerの90%以上が、“パーソナライズした”製品を提供する新しいビジネスモデルをサポートするために、外部とのパートナーシップを積極的に求めるようになる

 従来の既存の製造プロセスとの比較で3D印刷は既にスタートアップ企業でインフラコストの削減に効果を発揮しているとされている。ここから、製品の外観や機能をよりパーソナライズしたいという消費者ニーズの高まりに伴い、E-Tailer各社は従来の簡単な“組み合わせ可能な”製品から3D印刷で実現できる“パーソナライズされた”受注生産製品への移行がもたらすビジネスの可能性が認識されるようになっているという。

 耐久消費財のほぼすべてのカテゴリで3D印刷対応のパーソナライゼーションは大きな高まりを見せるようになり、メーカー各社はより設計に近い場所へ消費者を呼び込む環境を整えるようになるという。この戦略を早期に確立した企業は、それぞれが事業展開しているカテゴリで、その分野をリードする存在になると見ている。

 これを実現するためには、規格外の製品を受け入れる社風、フロントオフィスの新しい「コンシェルジュ」ビジネス機能、バックオフィスのITおよび運用スキルが不可欠になる。柔軟性に欠けるプロセスオートメーションを超えた、これまでにない俊敏性が求められるとともに、場合によってはまったく新しいビジネスシステムが必要となることもあると言及する。

(10)2020年までに、ターゲットメッセージングと屋内測位システム(Indoor Positioning System:IPS)を組み合わせて活用する小売企業の売り上げは5%増加する。

短期予測:2016年までに顧客の位置と店舗内で過ごした時間に焦点を当てた小売企業からの引き合いが増加する

 モバイルデバイスの利用の広がりで開かれた大きなビジネスチャンスを有効活用するため、デジタルマーケターは、モバイル広告と高度なアナリティクスにこれまで以上に焦点を当てているという。この環境で中心的な役割を果たすのが「コンテキスト(状況依存)」情報であり、消費者の最近の購入実績や購入習慣、居住地、関心の対象などに基づく高度なターゲット広告を提供できるようになると論じる。

 これらすべてのデータの中で最も重要なコンテキストを提供するものの1つが現在地情報になる。デジタルマーケターはマッピングを利用しているが、その利用方法は依然としてシンプルな方法に限られていると指摘する。

 このような中、最近になって実行可能性が高まってきているのがIPSとする。人工衛星ではなく低消費電力のBluetoothビーコンとWi-Fiアクセスポイントを利用するIPSは、屋内のモバイルデバイスの位置を数センチの精度でピンポイントに特定できるとされている。

 IPSをサポートする新しいモバイルデバイスで位置情報に基づくターゲット広告とメッセージが可能になるとともに、リアルタイムのマッピングで店舗内の適切な場所だけでなく、具体的な製品に誘導できるようにもなると見ている。

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