Deloitteの「The Deloitte CIO Survey 2014」
プロフェッショナルサービスを提供する企業であるDeloitte Touche Tohmatsu は最近、49カ国(米国を除く)の900社以上におよぶ企業のIT部門における予算や優先順位、イノベーションを取り巻く現状について調査し、「The Deloitte CIO Survey 2014」(Deloitteによる最高情報責任者[CIO])を対象とした調査--2014年版)というレポートをまとめている。Deloitteの調査対象には、上述したSpiceworksの調査よりも規模の大きな企業が含まれており、46%の企業が10億ドル以上の売上規模となっている。
2014年のIT予算については2013年の調査と同様、CIOの4分の3以上(77%)が前年と同じか増額していると回答している。また、IT予算の大半(55%)は「従来の業務」の運用に割り当てられており、残りは業務の改善(23%)と業務の発展(22%)に対するサポートとなっている。さらに驚きはないものの、自らの仕事における最重要要素については、「業務サービスの提供を通じて業務の実績を上げる」(55%)が「IT部門をコストセンターから利益センターへと変革する」や「先進技術に投資する」を大きく引き離すという、2013年と同様の結果が示された。
出典:The Deloitte CIO Survey 2014
その結果、創造性を発揮する機会はある意味において制限される状況となっている。実際のところ、IT予算のうちのイノベーションへの割り当てが10%未満であると回答したCIOは46%にのぼっている。とは言うものの、CIOらはIT予算よりも、リスクに対するリーダーの姿勢の方がイノベーションに対する大きな障壁だとも認識している。
CIOにとって向こう12〜18カ月間の優先事項は、「新たな業務ニーズへの取り組み」(71%)や「デジタル戦略の推進」(47%)が上位を占めており、「ITコストの削減」は「リスク対策やセキュリティの強化」に次ぐ4位に落ちている(2013年の調査ではこれら3位と4位の地位は逆転していた)。またCIOは、予算があればアナリティクスやビッグデータ(30%)、モバイルアプリ(17%)、プライベートクラウド(15%)に優先的に投資するだろうと回答している。なお、BYODやソーシャルメディアは、拡張現実やゲーミフィケーションといった奇をてらったものとともに低い順位となっている。
さらにCIOは、自らを比較的ポジティブに評価しており、約半数(49%)が自身を「業務における心強いパートナー」であると判断している(2013年の調査から10%の増加)。しかし、この調査ではCIOと、組織の内外にいる利害関係者との関係に存在する興味深いパターンが浮き彫りになっている。
例を挙げると、最高経営責任者(CEO)との関係が「非常に重要である」と答えたCIOは79%にのぼっているが、現在「非常に良好である」と認識しているのは42%しかいない。同様の隔たりが他の2つの役員レベルのポスト、すなわち最高財務責任者(CFO)と最高執行責任者(COO)との関係でも見られる(CFOは65%と51%、COOは62%と47%)。その一方で、最高情報セキュリティ責任者や最高データ責任者、最高デジタル責任者といった、CIOの権限を広げるうえで将来的に重要となるポストとの間では、重要性の認識と実際の関係の強さが一致している。
出典:The Deloitte CIO Survey 2014
また、CIOと社外の利害関係者との関係について、その重要性の認識と実際の関係の強さには大きな隔たりがある。サプライヤーとの関係では60%と30%、顧客との関係では55%と16%、ベンダーとの関係では45%と30%となっている。こういった関係が改善されれば、IT予算に対するメリットは計り知れないものがあるはずだ。