今後のリリースに関する大きな懸念の1つが、Ubuntuが32ビットハードウェアのサポートを中止するのかどうかという点だ。この懸念はもっともである。現在のハードウェアの大半は64ビットであり、Ubuntuのようなディストリビューションが両方のアーキテクチャに力を注ぐことは、経済的でなくなってきている。しかし、現時点では、新しいリリースはまだ32ビットハードウェアをサポートしている。
2012年には、「i386」チップがカーネルから外された。これは、32ビットアーキテクチャがサポートされなくなるという意味ではなかった。Linuxを「Intel 80386」チップ(Intelの初代の32ビットチップ)で稼働させられなくなるという意味だ。こうしたプロセッサはクロック速度が12~40MHzであり、「Intel 80486」や「Intel Pentium」(1990年代初頭から中頃)に取って代わられた。こうした古いチップのサポートが廃止されたのは、多くの複雑性と、面倒な回避策をカーネルからなくすためだ。
ほぼ毎年のように、32ビットアーキテクチャはX年後にはなくなるだろう、と声高に叫ぶ人が出てくる。しかし、何年も経っているが、驚くことに32ビットシステムはまだ残っている。それこそ、人々がアップグレードしたがらないということを理解する上で鍵となる。そしてUbuntu(そして全てのLinuxディストリビューションメーカー)がこれを理解することが極めて重要だ。
Ubuntuが(そしてほかのディストリビューションが)32ビットシステムのサポートを終了させることを真剣に考えているのであれば、終了させるアーキテクチャ向けに特別なELTSディストリビューションを作成するべきだ。ELTSとは、「さらに長期のサポート版」の意味で、このリリースには5年のライフサイクルのサポートをつける。その5年間が終了したら、32ビットアーキテクチャとお別れの時だ。その時は2020年近くになっているだろう。そして、もしこうした32ビット搭載のマシンがまだ動いていたとしても、技術的特異点(編集部注:ここでは「機械が進化して人間を追い抜くこと」の意)が既に起こっていて、いずれにしろ、それは重要ではなくなると筆者は大胆に推測している。われわれは、マシンが作り出した128ビットアーキテクチャを動かすバッテリに過ぎないということになるからだ。
しかし現時点では、32ビットシステムと64ビットシステムの両方がUbuntuによってサポートされている。ユーザーは、自分のアーキテクチャ(32ビット、64ビット、そして64ビットの「Mac」向けAMD製チップ)を選択して、自分のハードウェアに合ったリリースをダウンロードすればよい。
そして、Ubuntuの最新リリースをダウンロードする場合には、それがバージョン14.04でないなら、LTSではないことを知っておいてほしい。OSをインストールして、それをできるだけ長くそのままにしておく方が良いのであれば、バージョン14.10をインストールせずに、バージョン14.04を使い続けるようにしよう。一方、新しいリリースを毎回インストールするのなら、バージョン14.10をダウンロードしよう。たとえ32ビットハードウェアをまだ使っているとしても、正しいバージョンのリリースをダウンロードしさえすれば、最新リリースをインストールしても大丈夫だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。