米国時間の10月19日から5日間の日程で開催されている、データウェアハウス(DWH)大手である米Teradataのユーザーコンファレンス「Teradata 2014 PARTNERS」(テネシー州ナッシュビル)。2日目の基調講演では、同社最高経営責任者(CEO)のMike Koehler氏や同社の研究機関であるTeradata Labsでプレジデントを務めるScott Gnau氏らが登壇し、同社のビジョンを説明するとともに、コンファレンス直前に発表された新技術も紹介した。
冒頭、登壇したのはTeradataのユーザー企業である米Nationwide Insuranceでアソシエイトバイスプレジデントを務めるKathy Koontz氏である。同コンファレンスは、Teradataユーザー企業が主体となって組織する「Partners運営委員会」が運営していることから、Koontz氏が基調講演の司会進行役(ホステス)を担当した。
基調講演のホステス役を務めたNationwide InsuranceアソシエイトバイスプレジデントのKathy Koontz氏
行動を喚起させないデータはただのデータ
Nationwideは2008年から顧客データ分析を強化し、独自商品開発と、ターゲティングされた顧客サービスの提供に注力している。Koontz氏は、「それまでデータは、ビジネス資産として見なしていなかった。しかし保険商品の場合、顧客の理解度がサービスの質を大きく左右する。年齢や性別、所得、病歴といったデータだけでなく、現在の興味関心や過去のコンタクト履歴、顧客の交友関係情報などもできるだけ収集して分析することで、より顧客ニーズに合致したサービスを提供することが可能になる」とデータ分析の重要性を強調した。
顧客分析が進み、ビジネスの課題が可視化された結果、投資判断やビジネスの優先順位付けが事実に基づき下せるようになった。例えば、メディアに広告を出す際にも「どの媒体に」「どのくらいの露出をするのが最も効果的か」を分析し、効率よく予算配分するといった具合だ。こうした分析による業務改善は、あらゆるとことろで実施されているという。
最後にKoontz氏は「分析は洞察を引き出し、その洞察に基づく次の行動を取れる。行動を喚起させないデータは、ただのデータだ。行動を導かない洞察は何の役に立たない。データ分析はすべての産業において組織を改善し、ビジネスを変革させることができる」と語り、講演を締めくくった。
一貫システムが迅速な分析を実現させる
続いて登壇したCEOのMike Koehler氏は、データ駆動型分析の重要性と同時に、統合化されたデータ分析プラットフォームの必要性を強調した。
Teradata CEO Mike Koehler氏
同氏は現在の状況について、「以前では考えられなかった広告、書籍、地図といった物理的なモノがデジタル化され、センサで自動車や航空機といった移動体からデータが収集されている。すべてがデジタル化され、あらゆる現象が測定可能となっている」と指摘。そのうえで、「そうした状況の変化によって新ビジネスと競争が生まれている。勝利するためには、分析力が不可欠だ。競争優位性を保つためには、ビジネスの現場ではもちろん、経営幹部もデータ分析を活用し、次のアクションにいち早くつなげられる体制を整える必要がある」と聴衆に語りかけた。
同氏はデータ駆動型分析で成果を上げた例として、ある自動車会社のワランティコスト削減を挙げた。その会社では、バッテリにセンサを取り付けてデータを収集、分析していたところ、特定工場から出荷されたバッテリに不具合があることを突き止めた。そのため、その工場から出荷された車だけをリコール対象とし、不具合を修正した。こうした対策は、メディアでリコールが報道される前にほぼ実施できたという。
「もし、センサデータを分析していなければ、該当車種すべてをリコールの対象としなければならず、莫大なワランティコストが必要だった。データ駆動型分析は、問題点を早期に発見して迅速な意志決定を下すことができる。同じ失敗なら早めに失敗し、改善した方がよい。失敗の“種”を早期に知ることで大きな成功を得られる」(Koehler氏)
こうしたデータ駆動型分析は、データの収集、蓄積と分析を統合化した“一貫システム”で行うことが重要であると説く。その解となるのが、同社の提唱するデータ分析活用環境「Teradata Unified Data Architecture(UDA)」だ。UDAは、データ収集から蓄積、分析に至るまでの複雑さを排除し、複数の分析プラットフォームを統合するもの。これにより迅速かつ多角的な分析が可能となるとKoehler氏は主張する。