Dropboxは10月22日、米Dropboxの最高経営責任者(CEO)であるDrew Houston氏および最高執行責任者(COO)であるDenis Woodside氏が来日したことを受けて記者説明会を開催した。今回が初来日となったHouston氏は、「800万人のユーザーがいる重要なマーケットである日本に来ることができて嬉しい。顧客やパートナーとの挨拶で忙しく過ごしている」と語った。
また、Dropboxは世界が抱えている共通の大きな課題に取り組み、解決しているとして、Dropboxの共同作業機能やコラボレーション機能などを挙げた。「Dropboxはユーザー一人ひとりの大切な情報を格納するための『家』を構築している。創業時になかったような新しいデバイスも続々と登場しており、複雑になる世界の中で、簡単に使えるものを提供している」と述べた。

(左から)COOのWoodside氏、Dropbox CEOのHouston氏、日本法人代表の河村氏
Houston氏はまた、Googleから入社して6カ月目になるWoodside氏、9月に設立されたDropbox Japanのカントリーマネージャーに就任した河村浩明氏を紹介し、「Dropboxは次々に世界各地でオフィスを設立しており、新しいプロダクトも続々とローンチしていく。ビジネスとしても急ピッチで進んでおり、ワクワクしている」と結んだ。
Woodside氏は、ビジネス、プロダクト、日本市場の3点について述べた。ビジネスでは、Dropboxは現在世界で3億人が利用しているが、この1年半で200%と大きく伸びており、その理由にサービスが(ユーザーの利便性を保ちながら)機能し続けていることを挙げた。「無料で数テラバイトのストレージを提供する企業など、競合も増えているが、大切なのは価格ではなく顧客経験(UX)だ。最も単価が高いAppleのiPhoneがおそらくこの会場の中でも最も大きなシェアを持っている理由がそこにある」(Woodside氏)
プロダクトでは、Dropboxはコンシューマービジネスとして始まったが、企業向けである「ビジネス」は8万社が導入していると説明。企業のニーズに応える制御能力があり、高いセキュリティを維持しつつ使いやすいため、ぜひ使ってほしいとアピールした。導入企業のUnder Armourでは、デザインのデータを共有。世界4カ所のデザイン拠点だけでなく、製造拠点とも共有しているという。
日本市場については、「Dropboxのユーザーの約7割が米国以外に居住しており、日本のユーザーは800万人いる。日本はDropboxの3番目の海外オフィスであり、期待しているし投資もしていく」と抱負を述べた。特に日本は企業の99%が中小規模で、労働人口の70%を占めているため、ビジネスユースの見込みがあるとした。
Dropboxは規模の小さい企業に効果的であり、共同作業とコラボレーションを簡単にすることで時間を節約するとともにコストを下げ、仕事の効率を上げられると強調した。
河村氏は、「前職はセキュリティベンダーであるシマンテックだったが、多くの顧客がDropboxを利用していた。不思議に思っていたのだが、息子や娘に聞くと当たり前と言われ、自分でも使い始めた」と自身の経緯を明かした。
一方で日本のユーザーは800万人であり、全世界のユーザーの3%に満たないとして、知名度を上げることも仕事のひとつであるとした。また、「日本はITのコンシューマライゼーションに適した国。パートナーとともに企業、個人のDropboxユーザーを増やしていくことが私の重要な役割」と抱負を語った。
先日報道があった、DropboxユーザーとされるIDとパスワード情報がインターネットに掲載されていたことについては、掲載されていた情報はDropboxとは関係のないサービスから流出したものとした。報道後に社内のセキュリティ部隊が実施した調査でも、情報漏えいの形跡は見つからなかったという。